2022年04月23日

60年ぶりの帰り道

世界で初めて小型ヨットでの単独無寄港太平洋横断を成し遂げた海洋冒険家の堀江謙一さんを乗せたマーメイド三世号。
サンフランシスコ出港から1ヶ月近くが経過して順調に日本に向け航海を続けています。と、断言できるのも船に搭載されたGPS受信機のデータを衛星経由で送り返し、毎時間ごとの正確な位置、針路、速度データを記録しているからです。
エンジンも発電機もないのにソーラーパネルで充分な電力を確保して毎日の音声通話から航海日誌も公開されているほど.しかし揺れる船内でメールに返信するのは難儀だそうで、もっぱらアマチュア無線も含めた音声通信がメインの様です
先週にはワイキキ沖を通過してあと数日もすれば日付変更線通過.それでもまだ全行程の半分に満たない距離です。日本列島はまだ5000km先

今改めて苦難を綴ったベストセラー作品「太平洋独りぼっち」を読むと、まだ出国のための手続きも前例がないからと断られ、ビニール袋に詰めた飲料水が太平洋上で役に立たなくなり、併せて持って行ったビールで飯を炊くなど、その破天荒な冒険には今更ながら、驚かされるものがあります。

その時の愛艇マーメード号とほぼ同じ大きさのヨットで今回挑むのが何度目かの単独太平洋無寄港横断。成功すれば最高齢でのと言うタイトルが付加されます。が、もはや冒険ではなくGPS電波による航跡確認や衛星携帯電話の携行も義務付けられた航海だけに、冒険色は些か色褪せます。が、それでも大冒険には違いありません。

安定した西向きの貿易風に乗れる西行きなので、尚更。大阪から春先の暴れん坊低気圧に何度も苦杯を舐めた元読売テレビアナウンサー、辛坊治郎さんのワイルドな航海の様子を思えば、平穏そのもののようにも感じられます。
堀江さんは83歳での挑戦について、「年齢は経験でカバーできる」と余裕しゃくしゃく。衛星電話越しの最新の会話では生涯最初の太平洋横断時に比べて鳥が減ったとの感想も。これは奇しくも辛抱さんが8年前の航海と比べた感想でも語っていた事と一致しており、概して魚の生息数が減っている事を物語っている様です。
数値的な裏付けはともかく、五感で受けた印象が一致しているということは我々地球上の生き物にとって真剣に捉えるべき問題なのかも知れません。

| 00:55 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦


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