2019年11月20日

もう後ろは振り返らない

Dscf6161小惑星探査機はやぶさ2」小惑星リュウグウでのミッションを全て終了し、先週地球への帰路に就きました。と言っても最初は秒速10センチという微速、地球迄の14億キロという距離を考えると「大丈夫かよ」と言いたくもなりますが、今週からはいよいよ主動力のイオン・エンジンに点火、四六時中加速を続けて一年余りの長丁場をこなします。

この一週間はカメラをリュウグウの方向に向けた姿勢を保っていましたが、イオンエンジンをリュウグウに向けたのでカメラの視野からはリュウグウが見えなくなります。測距装置の測定では32589mあまり迄測定することに成功。ヒルズから横浜中心部までメートル単位で測距したのですからスゴイ。

今、はやぶさ2」がいるのはおとめ座の方向、明け方なら、太陽のすこし上あたりにいるはずです。運良く見えたとしても光の速度で800秒も前の姿ですが。


思えば小惑星イトカワからの帰り道、迷子になった初代「はやぶさ」(MUSES-C)が頭に浮かびますが、あの時はイトカワ離脱の時点で姿勢制御ロケットの燃料漏れを起こしており、姿勢維持のためのジャイロも相次ぎ故障。正確に地球にアンテナを向けられなくなったり、最後にはイオン・エンジンが運転続行不能の危機に見舞われたり‥・・・満身創痍で地球にたどり着き、カプセル回収と引き換えに自らは燃え尽きて職務を全うするという想定外のドラマを演じたものでした。

今度のはやぶさ2」は違います。ここまで順調すぎるほどの成果、地球帰還後も、大気圏には突入せずコースを替えて、以後のミッションに向かいます。

月よりも遠く、40万キロの彼方からオーストラリアの砂漠めがけてサンプル格納カプセルを投げ込む、と言う前代未聞の始球式が控えていますが、おそらく予定通り、成功裏に終わらせてくれることでしょう。

カプセルが地球を逸れずに無事、オーストラリアの回収地点に届くころにはオリンピックもパラリンピックも終わり、アメリカの新しい大統領が誰になるかも決まっている頃・・・・・カプセルの中身は果たして・・・・

| 22:03 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦


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