昨年末にかけての3ヶ月で大ブームとなったPPAPと恋ダンス。どちらもYOUTUBEを基点に広く拡散して、今ではピコ太郎のTVCMを連日見かける売れっ子ぶり・・・・・半年前には想像もつかなかった現象です。
動画の投稿が広く拡散して有名になった例はこれまでにもありました。恋ダンスも元々はTV局が作ったパッケージもの、最初の発信源は人気ドラマのエンディングでしたから、少なく見積もっても数千万人が最初はテレビで視聴したはずです。
ところがPPAPは既存の放送メディアよりも先にSNSで広く世の中に浸透しました。もちろんYOUTUBEで1000000ヒットなど、今では珍しい現象ではありません。ヒットのカギを握ったのはジャスティンビーバーのRetweet、あっという間に世界に拡散したのは周知のとおりです。そのJBがどうやってPPAPにたどり着いたかと言えば、米国の面白動画を紹介するサイト「9GAG」に取り上げられたことがキッカケです。でも、世界中に拡散させたのはやはりJBの影響力でした。
両者が決定的に違うのは既存メディアが仕掛けたものか、あるいは個人が発信したものかという点です。PPAPは既存の大手メディアが関与する前に世界中に拡散しています。つまり、キー局をはじめとする放送メディアや新聞などの大資本ではない、あくまでも一個人が強大な発信力を持ち得る、ということが証明されたことの裏付けです。
今月大統領になる予定のトランプおじさんの呟きも世界が注視しています。まだ、当選後一つも正式な記者会見を開いていない政治家経験ゼロのオヤジの呟きでしか有りません。しかし、もはやひとりの個人の発言が広く拡散して影響を及ぼす時代・・・・・大資本やメディアの後ろ盾がなくても、強大な影響力を発揮できる......それだけに責任も重大です。
責任とともに、信ぴょう性も大きく問われるのがSNSの社会。去年、大統領選挙を巡る偽ニュースが注目の的となっています。ローマ法王がドナルド・トランプ支持を表明したとか、ヒラリー・クリントンはISISに武器を売っていたとか、そういった事実に基づかない"ニュース"がトランプの当選の要因だった、とする説です。真偽のほどは置くとして例えデマでも選挙結果を左右してしまい兼ねない...政権与党にとっても見過ごせない問題です。
安定した資本の下で経営されるメディアなら編集という作業を経て、ニュースの中身が吟味、選別されます。当然疑わしき情報は陽の目を見ません。ここが既存メディアとネット上の情報の違いです。疑わしい情報でもインパクト次第では既存メディアの力を借りることなく広く拡散してしまう影響力の大きさは、写真週刊誌の比ではありません。(デジタル写真の信憑性も今後はどう評価されるか疑問ですが)
こうしたことが繰り返されれば、ネット上の情報そのものが結局信ぴょう性を失ってしまうのは自明の理です。今年も欧州で重要な首領選挙が幾つも控えています。今や、ネット社会も選挙結果を左右する重要なファクター、誤った使い方でとんでもないニュースにもなり兼ねない点はダガー・ナイフや牛刀の誤った使い方も同様です。
ダガーナイフ※ 2008年(平成20年)6月8日秋葉原通り魔事件で使われた凶器の一つ
牛刀※ 2000年(平成12年)5月3西鉄バスジャック事件で当時17歳の少年が凶器として購入、使用した。