2022年06月30日
(存在感の)大きな長澤まさみ(シンウルトラマン)
今だから言っちゃうと良くも悪くも日本映画、と言うところが印象的な円谷プロの最新作がシンウルトラマンです。
テレビシリーズの様に3分の格闘で怪獣をやっつけて30分で話が終わらない劇場版のストーリー展開(脚本 庵野秀明)は皮肉たっぷりに、防衛のあり方や人間の存在意義、自己犠牲の精神にまで深く踏み込んだ、哲学とも言える展開を見せます。だから子供を連れて行くと説明に困る作品かも知れません。
ウルトラQを思い起こすオープニングシーンからウルトラマン登場&格闘シーンのBGMまで(選曲 庵野秀明)56年前のムードをしっかりと再現してくれる辺りはサービス精神タップリ。で、背中にファスナーが見えないところは56年分の進化の証でしょうか?
万能俳優の長澤まさみはコメディからシリアスまで何でもこなせる東宝の家宝の貫禄タップリ!ですが今度の竹野内豊が、良い役者になって来たなあ、と好印象だったのも特筆もの。
ベテランの円熟味を発揮する山本耕史の巧さもさりながら斎藤工も、もちろんニヒルに徹しながら悩める「カトクタイ」隊員として長澤まさみの同僚の大役をこなしています。
木更津をはじめ各地の陸上自衛隊駐屯地部隊の全面協力も映画にリアリティとゴージャス感を添えています。
異星人同士が団地のブランコで人類存亡に関わる重要な話し合いをしてたり、長澤まさみが風呂に入れない設定といい、ディレクションこそ樋口真嗣監に委ねているものの総監修として良くも悪くも庵野秀明色いっぱいに溢れた今度のウルトラマン。56年前のTV原作シリーズより50倍以上楽しめる事請け合いです。
エンドロールを飾る米津玄師のテーマ曲がさわやかな後味を残してくれるところも素晴らしい作品でした。