ヒルズの前庭にチューリップのつぼみが並ぶ頃になるとスイス、ジュネーブで自動車ショーが開幕します。三方を自動車生産国に囲まれたスイスには大手メーカーは存在せず、小規模な工房や海外の弱小メーカーが脚光を浴びる絶好のチャンスです。それにしても今回のショーでは一段と電化の勢いが顕著となりました。
例えば一例を挙げるとシンガポール生まれの新顔=ヴァンダ・エレクトリックスの『デンドロビウム』はモーター4個を前後に配し、100kmまでの加速に3秒かからないという200マイルカー。(航続距離ではなく最高速度です)市販化はまだ未定ですが、複雑なエンジンを設計、生産する技術がないメーカーでもこうした高性能車をひねり出せるのが電気自動車の特色。
NIO EP9という聞きなれないブランドは中国の電気自動車メーカー、NextEV製。組み立てはロンドンで行われるようですが、レーシングカーそのままのような謎めいたスーパーカーは独ニュルブルクリンクの旧コースを7分5秒台で回るというEV記録(2016/10月現在)を作っています。他国からもこんな車が幾つ出てきてもおかしくはありません。
ベントレーの全く新しい2ドアオープンのコンセプトカー「EXP 12 SPEED 6e」これも電気駆動でガソリンを使いません。史上最も格好良いベントレーと称しても差し支えないほど秀逸なデザイン、インテリアもベントレーの伝統にのっとり電気自動車らしさを感じさせない質感の高いデザインです。このままの形でデビューするかは不明ですがガソリン版として発売されてもすぐさま六本木界隈に繁殖しそうな予感がします。
一方、在来勢力?であるガソリン車はというと、フェラーリ最後の12気筒エンジン搭載車と目される812 SUPER FASTが話題です。800馬力12気筒に由来する812ですが歴代フェラーリの中でも3桁で最大の数字を与えているところが意味深です。将来8気筒ターボが最強のフェラーリを名乗る日が来てしまうのか?
・・・・・他方ポルシェからは4ドア車パナメーラをワゴン化したようなSport Turismoが披露されました。オプションとして(乗車用ではない)3列目のシートも用意されるようで、ポルシェも欲しいがtailgating(テイルゲーティング)も捨て難いという潜在ユーザーにとっては朗報かもしれません。在来パナメーラ同様ハイブリッド版もあるようです。
メルセデスとは違う独自の古風なGTを開発するAMGはMercedes-AMG GT Conceptを公開、AMGの四人乗り4ドア版GTです。ポルシェ同様商売としてはやはりこの方向に向かいつつあるのでしょうか?(ウチの場合はドア2枚で足りてるんですけど・・・・・)
スウェーデンの小工房ケーニグセグは「レゲーラ」市販車の最初のクルマを公開。、電気モーターとツインターボV8エンジンが最高出力1,500hpを発生するハイブリッド・スーパーカーの最高峰!
スイスの小メーカー「スパイカー」は「C8 プレリエーター」に、上記ケーニグセグ製V8エンジン(最高出力600psと最大トルク600Nmを発揮する5.0リッター自然吸気)を採用するとのこと。これに6速マニュアル・トランスミッションという、今や古典的な組み合わせ♡
極東はるか東方の日本からはシビックの新タイプRとスバルXVがお披露目、どちらも人気車種だけに注目度も高いようです。
・・・・・と、写真を見ながら解説文を読んでいくと、まだまだ超高性能車を欲しがる富裕層には事欠かないようでひとまずは安泰な自動車業界❓なのでしょうか。それとも安価なクルマを大量生産する大メーカーには一層の奮起を望みたい、と付け加えておくべきなのでしょうか・・・・・