ウーバー社が自動運転の実証実験中に発生した死亡事故、おそらくはこれが世界で最後の自動運転中の死亡事故とはならないことでしょう。
自動運転を巡る様々な問題は山積していますが、技術的な進歩はともかく、自動運転を受け入れる社会の側も様々な変革を強いられることになりそうです。まずは法整備の問題。そして賠償問題です。
今の段階では車の所有者が賠償責任を負う、という話になっているようですが、そう単純な話でもなさそうです。(今回にしても事故のリスクを承知で実験に臨んだウーバー社の過失なのか、見張り義務を怠っていた管理者の過失責任なのか...)
そもそも、自動運転試験が認められる環境というのも国や地域によって大違いです。日本の城下町のような狭歪な場所ではなかなか認可されないでしょうし、北米のだだっ広い土地では取り締まることすら厳密には出来ないことでしょう。そして、もっと大きな問題は自動運転の性能差です。
自動車各社に加えてIT企業も参入し開発競争が生まれることは望ましい限りですが、性能も手法もまちまち。http:のように統一された書式や基準がないのも問題です。今回の死亡事故の場合、ほかのメーカーの自動運転車だったら結果はどうだったでしょう?
仮に自動運転にも各社で明確な性能差が生じて、それが保険料率にも反映されたらと考えてみます。すると保険料の安い【事故率の低い】メーカー・車種の自動運転車に人気が集まり、収益も上がります。他方で料率の高い車種・メーカーは不人気となり、数が売れません。開発費用の捻出にも影響するでしょう。自動運転の世界でも格差社会の到来が予想されます。
そうなると二つのポイントで問題が起こります。ひところのウィンドウズのように単一のプラットフォームがデファクトスタンダードと化し、他メーカーの追随を許さなること・・・・新規参入は難しくなります。
そして、性能の差が起きるということは開発した当事者にも過失責任を問われる機会が巡ってくるのでは、という恐れです。
良かれと思ってプログラムを書き上げている開発者も人間、見逃しや思い違いはあるものです。仮にA社のケースでは事故に至らなかったのに、B社の自動運転だと事故に至ってしまう・・・・というような結果が出た場合、開発者の責任はいかに問われることになるのでしょう?
この問題には現在のところ答えは出ていません。というか、まだ死亡事故が一件しか起きていないので比較のしようがありません。
自動運転技術が熟成されるということは、実際の事故が起きいることとトレードオフなのか?この問題にも誰かが答えを出してほしいものです。いったん自動運転の実証試験を中断したメーカー以外にもこうした点を深く考えてほしいものです・・・・