2018年03月05日
three billboard
アカデミー賞作品賞は監督賞とともにシェイプオブウォーターに持っていかれましたが、負けず劣らず人気だったのが主演女優賞を獲ったスリービルボード
実際に監督が目にしたある広告ボードが制作のきっかけになった、言って見ればバイオレンスタッチの作品です。
窓の外に広がるのはノースカロライナ(撮影ロケ地)の豊かな自然。ミズーリ州エビングという名前の鉄道沿線にある小さな町の外れに忘れられていた様な広告板......そこに突然広告主が現れる。
再び注目の映画「スリー・ビルボード」はアカデミー賞のダーク・ホース的存在でした。でも、ちょっと難しいのは人気女優もイケメン俳優もラブシーンさえも登場しない地味なキャスティングに加えて、ミステリーにジャンル分けすべきかサスペンスなのか、それとも社会派作品なのか?
とにかく、警察署長を罵った内容の広告が意外な波紋を拡げ、その帰り波の一つが自分にも襲い掛かってくる......ネット社会の炎上騒ぎを揶揄している様にも見えます〔文春砲で売上アップを図ったのに予想を超えるショックを与えた挙句不買運動につながる......最近もネット社会の思わぬ反応の返り討ちに遭うケースを目の当たりにしたばかり)物語はどんな方向に展開するのか、犯人は捕まえることができるのか?最後まで予断を許さない展開にはきっと誰もが翻弄されるはず。
一向に、解決の糸口が見つからない拉致被害者の帰還問題や人種差別発言、警官の人種差別的な行動を重ね合わせて見ることも出来る......といえば、言い過ぎか?味わいの深い裂きイカやスルメイカの様な映画でした。デートムービーには不向きなのかもしれませんが彼女がディープな映画マニアだったら、きっと話題が尽きることは無いでしょう。誰を連れて行くかにも悩む作品かもしれません。
ラストシーンでアイダホに向かうフォードのワゴンは60年代以降、アメリカの典型的なファミリーカー、元警官の愛車ピックアップトラックもアメリカの国民車的な存在で、懐かしいアメリカののどかな景色もタップリと垣間見られる作品です。