1978年の春,ひとりの日本人が北極点を目指してカナダ領から犬ぞりの旅を始めました。400kgもの荷物を満載した犬ぞりを操って人類史上初の単独行で北極点に(犬と共に)到達したのは冒険家・植村直己。37年前のきょう=4月29日のことでした.ニュースは世界中を駆け巡り,当時のナショナルジオグラフィック誌の表紙を飾っています。まだネットもガラ携も無い時代.記録手段はカラーフィルムを詰めた銀塩カメラだけでした。
氷点下の厳しい環境にも堪えるプロフェッショナルなカメラとして選ばれたのは報道現場の定番だった,Nikonの一眼レフ”F2”頑丈なことはもちろんですが,電池を必要としない信頼性の高さも特徴的です。この時代は既に電子制御で露出を決めてくれるカメラが沢山ありました。でも,真昼の氷原ならばある程度の露出データは判っていて,壊れるかもしれない露出計のお世話になる必要はありません。Nikonも「電子回路は壊れるかもしれない」ことを前提に作られているので,基本的に電池の助けを借りずとも撮影は可能です(電池搭載の露出計を内蔵したファインダーもありましたが)バッテリー切れに逢うと充電できるスタバや電池を売ってるコンビニが無ければどうにもならないデジカメなど、役には立ちません
※写真はウェストレベルファインダー装備のF2(私物)北極やアラスカを旅したウエムラスペシャルとは(値段も)かなり異なります。
デジカメの様に撮っては消すを繰り返せない,一発勝負の撮影はどこか冒険にも似ています。
今でも日本を代表するエクスプローラーとして語り継がれる植村氏,この日を機にもう一度その偉業を改めて振り返ってみたくなります。