2015年04月20日
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中国ではことしもモーターショーの季節を迎えました.例年になく,エコカーにも注目が集まる様になり,公害問題にも目を向けだした中国市場がどちらの方向に進んで行くのか?しかし,相変わらず展示の中心は上級車/高級車で、日本でいうところの軽自動車や大衆車はまだまだ目立たぬ存在です。
ところで、分厚い経済学の本「 21世紀の資本」が飛ぶように売れている話題のトマ・ピケティ。かいつまんで内容をまとめると近代資本主義の世界では資本家に集約される富の比率がどんどんその割合を高め、労働者との収入格差は広がるばかり。とくに80年代以降の日本でもこの傾向が顕著となって・・・・・・・・・つまり一部の金持ちはどんどん裕福に,その他大勢はますます贅沢から遠い存在に・・・・
最近発表された自動車の販売ランキングを見てもまさにこれを裏付ける結果が出ています。ベスト10の大半は軽自動車、数少ない登録車(主に5ナンバー)もアクア、フィットと言った廉価版のハイブリッドカーで、昔の常連、カローラ、ヴィッツの文字は見当たりません。いっぽうで、輸入高級車の販売が好調なこともピケティの説を裏付けています。
つまり日本の自動車社会も一部の富裕層と大多数の格差をつけられた庶民に二極分化しつつある、ということが統計上からも証明されているのです。では、このまま進んだら日本の車は軽自動車ばっかりになってしまうのでしょうか?
その危険は大いに「あり」です。
先日、最新型の軽自動車に乗る機会がありましたが、最初はこれ5ナンバーのワゴンだとばかり思っていました。(一部の軽自動車には幅だけを広げたリッターカー版が存在する)そういえば後席シートベルトが2名分しか見当たらないな、とは思っていましたが・・・・天井高は座高の髙い私が座っても全然余裕だし、座席の幅も2人分にしては充分以上。
ナンバープレートを見ると確かに黄色い軽自動車。これはもう、あえて上級車にステップアップする意味があるのか考えてしまいます。大人四人が(我慢すれば)乗れて高速道路も(何とか)走れる昔の360cc時代とはエラい違いです。高速も料金が安くなるし、高くなった軽自動車税もまだまだ、リッターカーの三分の一!地方都市では半分以上が軽自動車で占められやがては日本の過半数が軽自動車になったとしても驚くには値しません。
軽自動車開発から撤退してしまったマツダや富士重工と対照的に、このところ軽自動車に軸足を移しつつある日産/ホンダの動向も見逃せません。
日本経済がピケティの予想通りに2極分化を進めたならば一層の軽自動車の繁栄と引き換えに上級車の衰退が懸念されるところです。つまり中国マーケットで主軸となる中/上級車は日本向けには開発/販売しない,と云ったメーカーも出て来るでしょう.限られた富裕層は逆輸入で需要を満たせば済みます。大きく豊かな中国市場と,小回りが効き省燃費で小振りな日本市場、まるで世界地図でみたまんまの両国の違いみたいです。