小型機、ローカル路線が主力のアメリカ、サウスウェスト航空といってもあまり馴染みはありませんがボーイング737は半世紀も前から飛び続けている世界で最もポピュラーな旅客機です。が、今朝のニュースを見て、また飛行機が怖くなった人がいるかもしれません。
17日(9年前あのサレンバーガー機長が飛び立ったのと同じ)ニューヨーク・ラガーディア空港(LGA)からダラスへ向かっていたサウスウェスト航空=1380便が高度1万メートル付近を巡航中左主翼の第1エンジンが突然破損して破片が20列目あたりの客室窓を破壊。窓側に座っていた女性が身体を吸い出されそうになり、死亡したという痛ましい事故です。
女性は乗り合わせた消防士、周囲の乗客らの必死の努力により機内に戻され、すぐに元ナースも加わって救急救命の措置を受けましたが、破片を頭部に受けたごとが原因で死亡しました。
そうこうする間にも機体は急減圧から乗客を守るため、急速に高度を下げますが一時は左に40度もバンクするほど難しいコントロールを強いられました。操縦していた女性機長(元海軍・F/A18パイロット)は「エンジンはまだ一つ稼働中よ」と冷静にフィラデルフィア国際空港(PHL)滑走路に緊急着陸を成功させました。
報道された写真を見ると、エンジン最前列の大型の羽根=ファン・ブレードを覆う外側のフェアリングがほとんど残っていないことがわかります。部品の一部は飛行ルート直下のペンシルベニア州 Bernvilleにて発見されています。
近年のボーイング737は比較的小型に属するターボファン・エンジン(CFM56)を搭載していますが、昔の737に比べるとはるかに大きな直径1.55mのファン・ブレードを持っています。飛行に必要な推力の8割以上はこの部分が生み出しています。その一枚が高速回転中(最大で毎分5200回転!)に破断したらどうなるか・・・・・もちろん遠心力で外側に飛び出し、フェアリングを突き抜けて直接、胴体を損傷する危険さえあります。今回は破損したフェアリングか、ファンブレードのどちらかが直接窓ガラス(二重のアクリル製)の一枚を壊し不幸な一人の乗客を死に至らせたと考えられます。
高高度を巡行中のエンジン事故は滅多に起こるものではありません。が、最近は急増する航空需要に加え、機体の老朽化。メンテナンスの省力化、さらにはコストダウンも手伝ってじわじわと増えているような気もします。サウスウェストの同型機では昨年もファンブレードの破談報告が一件あります。
間違っても日本の航空会社にだけは同様の事故を繰り返さないよう、まずは整備点検の徹底をお願いしたいところです。