世田谷の伝統行事「ボロ市」は年末年始をはさんだ風物詩でもあり、毎年のように足を運ぶ楽しみの一つでもあります。その楽しみの一つだったアナログカメラがすっかり姿を消したのは五年ほど前からでしょうか。それにしても相変わらず連日の盛況、今年もそんな一日に足を運んでみると見慣れない古い冊子に目が止まりました。
大きな本棚に見るからに古い教科書の一群、どうやら戦前に使われたもののようです。中でも表紙に「修身」と書かれた一冊に興味が湧きました。幼い頃両親や祖母らから事あるごとに聞かされた「昔は学校の教科に修身の時間があって・・・・それなのに最近の若いものは修身教育を受けていないものだから・・・・」のフレーズ、今で言えば道徳の時間ということになるでしょうか?ページをめくってみると各章ごとに歴史上の人物の様々なエピソードが綴られています。歴代天皇のエピソードに始まり、吉田松陰の兄弟に関する記述とか、戦国時代の名将etc、「公益」「倹約」「衛生」といった項目を織り交ぜながら中には生糸産業の育成から富岡製糸業の繁栄への過程、コロンブスアメリカ大陸発見までのいきさつだとか・・・・。旧仮名遣いですが読みやすい文章で子供にも解りやすく書かれています。小学生低学年には少々難解かもしれませんが、子供時代の自分にとっては必携の一冊となり得たかもしれません。
それにしてもこんなお宝のような教科書の山、一体どこから発掘されたのか?最近,廃屋や空家の処分業者が話題になっていますが、副産物としてこのように死蔵されていたお宝が再び日の目を見る機会を与えられた、とも考えられます。あるいは廃校となった古い校舎の片隅にはまだまだお宝物件が眠っているかもしれません。
年代別に史実を羅列する歴史の授業に比べたら遥かに実のある教科書だったのかもしれません。修身というタイトルが最適かどうかは別として、今の時代の子供にも決して無駄ではないコンテンツだと思います。
毎年12/15.16&1/15.16に世田谷ボロ市通りにて
手にとったのはおそらく「第三期 尋常小学修身書 巻五」と思われます