2015年01月10日
原油価格のゆくえ
昨年末のOPEC総会では原油の減産をしないことに決まりました。NY市場ではWTI相場価格が50ドル/バーレルを割るまでに下落していて、これにはシェールオイルを産出するアメリカ企業も経営破綻を強いられるまでに追い詰められています。反面減産しないことを決めたサウジアラビアの市場での主導力が大きいことも証明する結果となりました。
ただ、サウジの思惑は決して安値安定ではありません。シェールガス産業の息を止める目的が果たされれば,また原油価格が上昇に転ずるのは疑いようもありません。既に痛手を被っているロシアのプーチン大統領は回復までに二年が必要とアピールしているほどです。当のサウジにしても減収減益は覚悟の上なので、我慢の緒が切れたら、減産に転じないとも限りません。アメリカ側も黙って指をくわえてきているわけには行かず、より低コストで採掘できる新シェールオイルの開発が進むでしょう。
半年前には倍近くもした原油価格が50ドルを割った現在、需給バランスを考えるとしばらくは今の水準を上回るのはレアケースと考えられます。このまま原油が下がり続ければ、日本にとってはある意味好都合.自動車業界にも悪いニュースでは有りません。12月はじめには150円台だったレギュラーガソリンも正月の頃には130円まで下落、これはもう、1970年代末の水準と同じです。
あの頃の日本では、二度目のオイルショックを経て、ディーゼルエンジンを乗用車に採用するメーカーが増えてきました。老舗のいすゞや大御所のトヨタ、日産も加わってタクシー業界でもディーゼル車を採用する例が目立ってきました。このディーゼルブームはこのあと20年ほどで国内では終息してしまいますが、欧州ではメルセデス・ベンツやゴルフDを始めとして、しっかりと根を下ろし、乗用車市場の半分を占めるまでに至っているのが日本との大きな違いです。
反面、乗用車の馬力競争が激化したのもこの頃から。まだまだ税金の高かった3ナンバーながらツインカム6気筒で武装したソアラがハイソカー(ハイソサエティーカー)ブームの嚆矢となり、小説「何となくクリスタル」がブームとなって、若者たちの頭の中は如何にしてカッコつけていい女を助手席に乗せられるか、この一点で占められていたと言っても過言ではないでしょう。シルビア、プレリュードといったデートカーというジャンルが確立されて、毎月何千台もの販売台数を競っていたものです。このカテゴリーも90年代末、ミニバンブームの到来とともに消えてしまいました。
ガソリン価格も上下を繰り返し90年代前半には再び130円前後、200年代に入ると下は90円台から上は180円台と振れ幅も広がっています。今週末の時点で、原油価格は40ドル台。さらに10ドルも下がろうものなら、リッター100円時代が来てもおかしくはないでしょう。リッター20km走るハイブリッドカーなら大阪までのガソリン代は2500円位、ETC割引を組み合わせると、高速代込みでも一万円以下で到達できます!これはもう1980年頃の価格水準。ハマトラルックのお嬢さんといすゞフローリアンのディーゼルタクシーを街でよく見かけた時代でした・・・・・・