2015年01月21日
比較できない価値
20日、日本時間の夕刻になって耳を疑うようなニュースが飛び込んできました。ISIS(イラクシリアイスラム集合体)と名乗る暴力グループが安倍総理大臣を名指しで誘拐身代金を要求してきたのです。人質は昨夏、犯行グループに拘束された軍事会社代表と、彼を救うべくシリア入りしたジャーナリスト。投稿サイトにアップされた動画は合成という見方が強く、二人の人質は同時に同じ場所には居なかった可能性が高いと思われます。交渉期限は72時間。日本時間で金曜日夜までには期限を迎えてしまいそうです。
自ら危険を冒して現地入りしたのだから、と自己責任を問う声も聞かれるようですが、それを言うなら何故彼の他に誰も危険を冒して日本人を救い出そうと動かなかったのか?責任感を持って行動したのは日本人でジャーナリストたった一人だけだったのか?という問題点があげられます。言い換えれば国民的無関心、どれほどの人が事件前、彼の訴えに耳を傾けようとしたでしょうか?
38年前、ダッカ空港で人命は地球より重いとばかりに同胞樽テロリストに身代金ばかりか服役囚までも引き渡して国際的な批判を浴びた我が国の政治家たちは、身代金の要求に対していかに対応するのか?45年前のハイジャック事件ではボーイング727一機分の乗客と引き換えに、当時の運輸政務次官が身代わりの人質を買って出た。今の政権に、崇高な志を持つジャーナリストの代わりに命を投げ出す覚悟はできるだろうか?