人類が資本経済を使いはじめるようになって、もう何度もバブル経済の崩壊を目にしてきました。リーマンブラザースが経営破綻し、世界最強だった自動車大手GMの経営破綻に結びついたリーマンショックから10年と数週間・・・ダウ工業株平均株価は史上最高値を更新したばかりで、1000ドル近い急降下を見せ始め11/12日午前の東証株価にも影響が及んでいます。
映画「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛」はそんなバブル経済に翻弄される男女と家族を描いた作品で、舞台は17世紀のアムステルダム。ときはチューリップバブルの真っ只中。単色のチューリップには市場価値はなく、二色が混ざった種の球根が天井知らずの高値で取引される様は、あたかも数十年前に東京の土地価格で見られた凄まじい熱気と狂乱を思い起こさせます。
・・・・・いっときの熱にうなされるのは惹かれあう男女のあいだでも同じこと、年老いた金持ちの紳士よりも貧相ながら熱気あふれる若い男の方にオンナ心がときめくのは21世紀の現在でも珍しいことではありません。
作品の冒頭、いきなりジュディ・ディンチが登場して驚かされますが、原作者がマリーゴールドホテルで会いましょうのデボラ・モガックと知ればそれも納得。物語は彼女の修道院からスタートします。
主演のスウェーデン女優;Alicia Amanda Vikander(アリシア・アマンダ・ヴィキャンデル)は清楚な美貌のみならず惜しげもなく「すべて」を観せてくれるので[R15+] オッサン一人での鑑賞でも満足度は充分。流石にクルマは一台も登場しない映画ですが、脇を固めるHolliday Clark Grainger(ホリデイ・グレインジャー、英)もなかなか魅力的なタイプで英国のTVではチャタレイ婦人役を射止めたと聞けば納得のキャスティングです。
バブル経済は結局何らかの形で泡のような儚い末路を迎えるのが常ですが、若い肖像画家や魚売りと恋に落ちた女たちにはどんな運命が待ち受けているのか・・・・・・・日展で美しい肖像画を見たら、またこの映画を見直してみたくなるかもしれません。