2018年10月23日
坂の上の雲の行方
日本の元号が慶応から明治に改まったのは150年前の今日のこと、それまでは籠と飛脚の江戸文化が連綿と続いていた日本。もしもペリーが来なくて明治維新が起こらず、そのまま江戸の世が続いていたら.........
欧米の列強による侵略合戦に打ち勝てずどこかの属国に成り下がっていたのか?とすれば太平洋での激戦にもまみえず一人の被爆者も出さずに済んでいたのか?タラレバを重ねたらキリがありません。
では、明治以降の日本が激変したのはどんな背景によるものだったのか、多くのヒントを与えてくれるのが今読みふけっている司馬遼太郎の坂の上の雲(文春文庫)です。
俳句の世界に革命とも呼べるブームを巻き起こした正岡子規と日露戦争・海戦の大勝利の立役者=秋山真之の親交から物語はスタートします。一時は同じ道を目指した夏目漱石や高浜虚子、彼らを結びつけた松山の町も舞台となり、物語は欧米列強と対峙する日本の劇的な変貌ぶりを描いて行きます。
ロシア、ドイツ、英国それに今の中国・朝鮮半島が150年前にはどんな情勢にあったのか、意外にも今に通じる傾向が垣間見られるとともに、司馬作品の取材の広さ・深さを堪能できる傑作です。
ふと気づいて顔を上げたら電車内で紙の上の活字を追っていたのは私だけ。あとは寝てるか液晶画面で動画やラインのメッセージに夢中です。グーテンベルクの活版印刷・発明以来足掛け6世紀、活字の文化も平成の30年間のあいだに急速に変わりつつあるようです。