2020年04月15日
ふたりのdistance
カップルディスタンス、という用語、自動車業界では運転席と助手席の距離を表すものとされています。
1970年代には前席3人掛けの5ナンバー、コラムシフト車が存在しました。1500ccで6人乗り、いすゞ・フローリアンやRT80系コロナをカタログに見つけることが出来たものです。
前席3人掛けが無くなっていったのは・・・一つにはカローラの成功が考えられています。
昭和40年代初め、乗用車は大概ハンドル脇でシフト操作を行うコラム・シフトが当たり前でした。これなら足元空間を有効に使えて前席3人掛けも可能です。
そこをあえて、二人掛けとしてフロアシフトに限定した仕様で登場したのが最初のカローラでした。長く複雑なリンク機構を伴うコラムシフトはいつしか過去のものに。
最近の軽自動車にはベンチシートの良さが再発見され、インパネシフトと共に普及し始めていますが、これはフロアシフトでなくてもよいAT車の普及も一因です。
では、デート・ドライブには不必要な、過大なカップル・ディスタンスが何故必要なのか?これは最近5ナンバー車が減る一方な実情にも関係してきます。
軽自動車のサイズがどんどん肥大化したのも衝突安全基準が年々厳しくなっているから。これは乗用車の全幅にも関係してきます。5ナンバーの1700㎜未満という数字は前席の2座にも後席の3人掛けにも本来充分な数値だったはずです。が、サイドエアバッグの搭載を考えた場合、どうしても1700㎜の規定を超えてしまうケースが出てきます。
日本のみならず海外での販売も考えると思い切って1700㎜の5ナンバー枠をはみ出して設計する方が会社全体にとってはメリットがあります。ここ何世代か海外版のカローラと国内版の幅が違うのもこれが一因です。
ふたりの距離はこれからも狭まることはおそらく無いでしょう。かといって、あまりに離れてしまうのもちょっと・・・・・
ニュース・ルームでも今週からデスク席とアナウンサー席のディスタンスが一挙に1.9倍(当社比)になりました。これもcovid-19対策の一環です。
下読みの声を張らないと聞こえづらい、原稿を手渡しするのに、いちいち席を立たないとならない...などの問題はちょっと頑張れば済む問題です。
‥・・・が、いつまでこんな状況がつづくのやら?(一刻も早く元の状態に戻れますように・・・・)