2019年09月20日
メルシー、ディリリ
ZAPPAfridayの山中タイキさんも番組でお奨めの映画を見てきました。
「ディリリとパリの時間旅行」
とにかく衝撃的な美しさ、いや革命的なと言ってもいいくらい、・・・宮崎駿がフランスに生まれ育っていたらこんなアイデアの作品を作っていたかどうか?
舞台は1900年パリ万博を挟んだ30年程のベルエポックと呼ばれた頃、エッフェル塔が威容を現しパリの街並みにもチラホラ自動車や飛行船という最新メカが姿を見せています。
街角にはモネやドガ、ロートレックらがフツーに絵筆を走らせています。ミュシャが人気女優サラ・ベルナールを描いた時代とも符合し、パスツール、キュリー婦人まで様々なアーティスト・著名人がアニメーションでスクリーンに登場します。
監督のミッシェル・オスロは膨大な写真、資料データからあの時代のパリの街並みを忠実にアニメーション化、モンサンミッシェルの裏の路地からポンヌフを見渡せる川岸 エッフェル塔から見渡したアパルトマンが並ぶ中心部、ムーランルージュの華やかな正面をそれは美しく描いています。
主人公はニューカレドニアからやってきたフランス語堪能な肌の黒い少女ディリリ。この街では相次ぎ少女が姿を消してしまう謎の事件が続発、彼女にも魔の手が忍び寄り・・・・・
お話はある事件解決に奔走する少女を取り巻く人々のストーリーですが、女性の権利拡大、平等化をテーマに描いている点は現代の作品としてもちっとも古さを感じさせないから不思議です(というか、ある意味困ったものです)
描かれている時代、背景の景色だけを見ていても見ごたえ充分。まだ世界大戦が始まる前のヨーロッパ文化の中心地、パリの雰囲気を堪能できます。
写真に基づく正確なディテールと、リトグラフのような簡略化された人物描写に最初こそ違和感がありますが、これは紙ウサギ、ロペで見慣れた手法のはず
エンドロールで少女たちが踊って魅せるダンスシーンもまた見逃せない宝塚のフィナーレさながらの華やかさで彩ってくれています。
恵比寿ガーデンシネマ他で上映中(日本語吹き替え版も)