2019年05月09日
フランス座
学生時代、他大学のイベントに漫才コンビのツービートを呼んだので司会をお願いしたい・・・・・こんな要請を自分の学園祭で忙しいから、と断ってしまったウソみたいな経験がありました。今にして考えれば何と勿体ないことを・・・・
ツー・ビートの1人は言うまでもなくビートたけし氏、大学の先輩でもあります。北野たけし、このたぐいまれなる才能はいったいどのようにして育まれ、花開くことになったのか?そんなサクセス・ストーリーなどではなく、お笑い芸人の生きざまをありありと描いた点では第153回芥川賞に選ばれた「火花」と大きな違いはないかもしれません・・・・・
北野氏初小説の「フランス座」にはツービート結成前後の浅草の風俗や人脈、街の様子や歴史が細かく描写されています。幾つか定番のコントも収録されていて、当時の熱狂ぶり(シラケぶり?)を彷彿させてくれます。
フィクションと銘打たれてはいますがほぼリアルな展開はお笑い界の頂点に君臨する偉大な才能の誕生のヒントが隠されているのかも・・・・・
(文芸春秋刊 1300円+税)