2019年05月24日
興収成績ナンバー2スタート
昨年夏から公開が待ち遠しかった映画がようやく公開されました。
今からそう遠くはない未来のある日の未明のこと、北緯21度東経132度の太平洋上にある(とされる)日本の領土が侵略を受け、日本人が拘束された!救援に向かったのは、これまで日本には存在しなかった航空母艦、・・・架空の船が主役の作品。ご存知かわぐちかいじ氏の人気連載作品の中でも初めての実写化です。
主役はもちろん航空母艦「いぶき」ですが、艦載機を甲板に持ち上げるエレベーターが被弾、20時間の修理を要してしまいます。専守防衛の下、
敵が撃ってきたら応戦すればいいじゃないか、
というような単純な図式は通用しません。火器を使えば当然相手側に犠牲者をもたらす。しかし、こちらの人命を失うわけにもいかない。なによりも国際紛争の解決手段としての攻撃と、自らの命、国民を守るための防衛行動とはどこで線引きができるのか?
レーダー画面上を刻々と自衛隊艦に向かって突進してくるミサイル、敵戦闘機、それに自陣をはるかに上回る規模の航空母艦。苦渋の決断を強いられるのは現場の指揮官のみならず、総理官邸に詰めた閣僚と最高指揮官である総理大臣も同様。重い決断を下す時が訪れます・・・
戦闘シーンが主役のバトルものというよりむしろ極限の状況下でギリギリの選択を迫られる静かな緊張感が何とも言えないスリルを味わわせてくれます。ミリタリー・マニアには物足りない展開かもしれませんが、日本が遠くない将来に絶対、直面しないとは断言できない瞬間をとてもリアルに再現(予言)してくれます。
日本の首相を演じる佐藤浩市を巡る話題は一歩、映画公開に先行して異様な盛り上がりを見せたようですが、そんな些末なことは全く気になりませんでした。むしろ福田元総理や麻生元総理を連想しろと言っても端から無理な相談です。
実質的な空母の指揮官を務める主演;西島秀俊の演技が、あくまでも沈着冷静で感情の起伏を表に出さないニヒルなクールさが男の目から見ても魅力的で秀逸です。ファンなら決して見逃さないように!
総理大臣を演じる俳優として、もう一人忘れてならないのが中井貴一の存在です。今回は全く戦場と関係ない職場で居眠りしてしまう店長役ですが、三谷幸喜監督の政界コメディ 作品「記憶にございません!」も後を追うように今秋公開が控えています。ともに日本を代表する名優の二代目、年齢も現職総理の第一期就任当時を追い越しており、こちらも公開が待ち遠しい限りです。
マニアではない方のために鑑賞前のアドバイス、艦内のシーンは帽子のナンバーでもその船がどれか分かります。空母いぶきは「192」
120番台、170番台などはイージス艦を含む護衛艦群、500番台は潜水艦です。
艦載機は垂直離着陸も可能なステルス機F35でエンジン排気口はひとつ。燃費向上のため滑走しながら発艦します。敵機はミグ35、エンジンの排気口は二つあります。
ホップアップ;レーダー網をかいくぐり敵艦に接近する戦闘機が低空から急上昇に転じる瞬間、迎撃を受けやすくリスクの高まる瞬間でもある