2015年02月05日

ヒューマンファクター

 水曜日に台湾で発生した飛行機事故、偶然ドライブレコーダーに記録された映像を見ると,最後の数秒館で機体は大きく左に傾き,揚力を失って高速道路に接地しています。その降下率は明らかに着陸進入時のものよりも過大。乗客の恐怖感は想像に堪えません。

 そもそも2つ以上のエンジンを持つ航空機は離陸中にエンジンのひとつが停まっても上昇できる様に設計することが決められています.

 今回の事故の原因は左エンジンの出火、停止が濃厚ですが,そのあとでパイロットがどのような判断を下したのか?現地メディアのあいだではパイロットが川への緊急着陸を試みていたとも報じています。最後に左旋回するような姿勢をとっていたことも,この説を裏付けています。
 現状ではまだ判らないことが多く,推測でしかありませんが,整備部門の責任も大きく問われる結果になるかも知れません。今回の事故では離陸後二分間で6㌔ほど離れた事故現場に到達しています.その間に右翼のエンジンが100%の出力を発揮していたら,果たしてあのような低高度で飛んでいたのか?と云う疑問が湧いて来ます。

 そこで,あの場所をあの高度で飛ばざるを得なかった経緯について二通りの推測が出来るかと思います。健全なはずの右翼エンジンが充分な推力を出せなかった為に,空港に引き返すだけの高度に到達できなかった?
 あるいは機長の何らかの判断により,出力を絞って高度を下げ,車載カメラに映ったコースを飛ぶことをあらかじめ意図していた?


 今から六年前ニューヨークで起きた不時着水事故では900mの高度から滑空するだけの時間的余裕がありましたが,今回もし不時着を狙ったとすれば,最後まで川と直交する方向に進路を取り続けたのは正しい判断だったのでしょうか?さらに,着水を意図したものだったと仮定すると,ギリギリで左急旋回を余儀無くされるので,映像の様に左に大きくロールして揚力を失う結果とはいちおう符合します。

 現場では,事故から二日経って,まだ10人以上が行方不明,ブラックボックスは回収されたものの機長は死亡,原因の究明にはまだまだ時間がかかるかも知れません。

 繰り返して強調しておきますが,本来なら片肺飛行でも上昇、空港への帰還が可能なはずの双発機、それがなぜあの場所をあの高度で飛んで(降下して)いたのか?いずれの原因にせよニンゲンの責任が問われることに変わりはなさそうです。

| 05:49 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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