2013年12月11日
庵野でいいね
スタジオジブリの内幕に迫るドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』は風立ちぬを制作している宮崎駿監督の仕事ぶりを追いかけた作品です,これまでにNHKが取材、放送を終えて(仕事の流儀、宮崎駿1000日の記録スペシャル)いますが、ほぼ同時期にカメラを回していたのが『エンディングノート』で高い評価を得た若手の監督/砂田麻美さんです。
ドキュメンタリーは現場を撮影して編集すればそれでいいのかというと,編集次第で全然ニュアンスが違って来るので,編集・構成の手腕が大きく問われます。その点砂田監督は実にリズム感のあるテンポの良い展開で、しかもインサートカットも多彩で飽きさせることがありません。過去の振り返りも時系列にこだわらず,的確な場所に配置されていて,編集に携わる者としてとても共感を覚えます。主役の吹き替えに庵野秀明を引っ張りだした下りはNHKと全く同じ瞬間を捉えていますが,印象は大きく違いました。
そうそう,この映画,日テレの奥田プロデューサーも顔を見せています。高瀬デスクの後輩にして我がセンパイです。鈴木プロヂューサーと並んで,この人の貢献が一般に語られたのはおそらく本邦初!
映画の完成後、会見で引退を表明した宮崎監督,しかし本心はちょっと違うところにあるのかもしれません.この映画を見ていると何となくそんな気がして来ます。そえにしてもスタッフたちの細かい仕事ぶりに厳しく目を配る宮崎監督を克明に記録して,本音をさらりと引き出すあたり、長時間に渡って密着取材した砂田監督ならではの努力の成果も見受けられます。そんな細かい仕事ぶりを見せつけられるともう一度風立ちぬを見ずには居られなくなってしまいます。