2008年10月19日
take a ride on KTX
韓国版TGV;KTXに乗って300km/hを体験
ソウルまでの400kmあまりを300km/hで疾走
一見するとフランス国鉄自慢の高速列車TGV?の韓国高速列車KTX
ライト周りやノーズに微妙な違いが・・・・
実はこれ韓国国鉄がフランスからライセンスを得て
2004年に完成させたTGV韓国版[KTX]です。
営業最高速度は山陽新幹線と同じ300km/h
つまり、対馬海峡を渡ればフランスまで遠征しなくても、
連接車体の静かな300km/h走行が体験できます。
スタートは港町・釜山駅から
首都ソウルまでの400kmあまりを三時間弱で走破します
300km走行ならもっと早く着くはず、そう感づいた方は鋭い!ですね
実は現在のところ高速走行できる専用軌道は韓国第三の都市
テグ(大邱) の手前までの300kmほどで、慶州(キョンジュ)
を経由する新線が完成していない現在はトンテグ(東大邱)まで
在来線を走行します。つまり、新在両線の比較を一度に体験できる
今が旬、といったら負け惜しみに聞こえるでしょうか。
台車は世田谷線のような連接車体.ドアステップには
ライセンスを受けて韓国内で生産された旨を顕す銘版が
定刻になると地方のバスのような?発車ブザーがデッキ側に
鳴り響き、ドアクローズ。音もショックもなしに気が付いたら
とてもスムーズに列車は走り始めました。開業当初の新幹線
(0系)も、かつてはこんな感じでスタートしたものです。
連結面の幌も揺れません。
二拍子の軽快なリズムを刻む音を聴きながら釜山駅を発車。
四列のシートは通路もシートピッチも狭くエコノミークラスの
航空機並み、クラウンのタクシーのほうが広く感じます。
日本の在来線より狭いくらい
小田急10000系のロマンスカーの方がよほどひろびろしています。
床面積はコンコルドの機内といい勝負かもしれません。
さらに不評を買っているのが集団見合い方式の固定座席
車内検札は乗務員が携帯端末を手に、停車駅ごとに
チェックします。が、予約のない座席に客がいないかだけを確認
乗車率はソウルを中心に平日昼間でもほぼ満席。
列車密度もそこそこで、在来特急や時間あたり数本のKTXなど
奥羽本線より多いくらいです。
複線電化、バラスト軌道のよく整備された線路を一路
ソウルに向けて進みます。
釜山を発車して高層住宅の立ち並ぶ市街地を駆け抜けたあと、
大きな川と幹線国道が見えてきます。
30kmほど進むと、韓国映画[猟奇的な彼女]のオープニング・ショットの
景色が見えてきます。2003年にも日本で公開されたこの映画で
「彼女」役チョン・ジヒョン(全 智賢:Jun Jihyun、전지현)が
泣きながら「彼」(チャ・テヒョン、車太鉉:차태현Cha Tae-hyun)に
ホントの気持ちを訴えるシーン。
韓流ブームの始まる直前、三度も劇場に足を運んだお気に入り、
いつかこの場所を訪れることが出来たら・・・・が5年越しで実現。
「彼女전지현』の去年のCF『17茶』は、彼女
らしい健康的なセクシーさが
溢れています。おっと脱線・・・・
U.Sリメイク版『猟奇的な彼女 in NY』日本では2008年11月28日発売予定
山あいのローカル駅、勿禁(むるぐん)駅通過。新線の完成後は
慶州(キョンジュ) 経由なのでこの景色を見ることは出来ません。
釜山から一時間あまり、まだ在来線を走っています。100km/h
位にしか感じませんが東大邱駅(トンテグ)までの110kmあまりを
ほぼ一時間で走破した計算。手元の時計では2000mを
55秒で走破したのを確認しています。
東大邱を出発するといよいよKTX専用軌道の分岐点が近づきます。
線路脇には有刺鉄線で覆われた防護柵も現れ、軌間距離も
広がった気がします。LED発光の信号塔も見えなくなりました。
バラスト軌道は変わらず、架線もシンプルカテナリー式のままだった
のはちょっと驚きです。どうせパンタ一基しか使わないけどね。
四角いグレーの標識「HSA」を確認すると
大半の乗客には気づかれないまま300km/hに向けて加速を始めます。
新幹線のようなモーター音の変化がなく、窓外の景色を注意深く
注視するほかは、かすかに聞こえてくる風切音の高まりに
耳をそばだてるより他にありません。乗り心地はそれまでの
幾分ソフトな感じから、路盤の凹凸を細かく拾う「硬め」に
変化したようにも感じます。クルマでいえば、ばねレートを上げ、
ダンピングも固くした感じ。HSAの標識を境にちょっとした音の変化が
感じられたのはこのせいだったかもしれません。床下で
コンプレッサーが稼動していたのかどうかは不明。何かの装置が
起動した気配は感じられましたが・・・・
試しに手元の時計で200mごとのマイルポスト通過時間を
計ってみると、見事に1kmあたり12秒フラット!!
(動画の秒針、22秒と34秒で青い距離表示の
マイルポストを通過してます)
5000mまで計り続けると58秒しか掛かっていません
遮音は新幹線並orそれ以上、台車から聴こえる低周波の
唸りがない分静かなのかなとも思えます。でも、
耳鳴りを感じた記憶がありません。これは明らかにKTXに軍配。
振幅の小さな振動はそれなりに緊張感も感じられますが、
前方の親子連れや、電話に夢中のおばちゃん連には無関係。
液晶画面の片隅に時刻と交互に表示される時速だけが、
高速走行中であることを告げています。
車内の画面表示でも306kmまでは確認したので、
場合によっては世界最速の営業列車に乗っていたのかも?
トンネル区間も増え、
すれ違いの相手もKTXに限られますが、思ったほど気圧の変動が
ありません。山陽新幹線のトンネル区間に比べると振動も横揺れ、
ロールも少なく、よく出来たレーシングカーに乗ってる気分です。
トンネル入り口はすべてこんな風に傾斜が付いているのも奏効しているかも
動画ファイルをダウンロード
※クリック&試聴にはクイックタイム等が必要です。
※メディアプレーヤー(window等)でも再生可能です
高速走行に入って1時間足らず、もうソウル近郊まで来てしまいました。
減速の後、再び在来線併用区間に戻り、漢江(ハンガン)の鉄橋を渡ると、
平行して走る地下鉄1号線の線路も見えて来ます。
駅前の高層ビル群やソウルタワーも見えて来ました。ソウル駅はもうすぐです。
おっと、こちらはかつてのソウル駅・約80年前建造の旧駅舎です
現在は使用されていませんのが、文化財として貴重ということで
取り壊しは免れたようです。
とてつもなく広い空間を覆う鉄骨組のガラス屋根は
どこかヨーロッパの始発駅風でもあり、フランスのTGVも
こんな感じで出発するのかと想像を膨らませてしまいます。
改札を抜けコンコースを歩く気分は関西空港の国際線のよう。
採光も抜群で真夏は冷房電力が心配なくらいです。
KTXの運行はここまで。でも、韓国国鉄のレールは
まだ北に向かって続きます。ここで地下鉄一号線に
乗り換えて、さらに北上してみましょう。
仁川・インチョン空港から延びて来る地下鉄1号線、
途中駅のプピョン富平は映画/猟奇的な彼女で
キョヌが酔いつぶれた「猟奇的な彼女」をおぶって
とりあえず駅前の宿泊施設に転がり込んだ場所
映画の中にも地下鉄のシーンは度々登場します。
ソウル市庁前の広場はワールドカップの応援や
牛肉輸入の反対デモ等で百万人単位の人が集まる場所その先、右に急カーブして東を目指します。
東西に流れる清渓川を挟むように北には1号線
南には2号線の地下鉄が平行して走っているので
好きなところからエントリー、歩き疲れたらすぐ
地下鉄、というわがままも可能です。
ソウル市庁前の広場はワールドカップの応援や
牛肉輸入の反対デモ等で百万人単位の人が集まる場所
その先、右に急カーブして東を目指します。
地下鉄1号線はソウル中心部を東へと進み、
鐘路(ちょんろ)、東大門(トンデムン)と言った繁華街を左に見て
(地下なので見えません)
東京で言えば上野駅にあたる北への始発駅・
清涼里駅(チャンリャンリ) 駅を過ぎ
地上区間に出て来ると国鉄の線路と合流します。
城北駅(ソンブク - Seongbuk )までやって来ました。
ここで乗って来た電車は折り返し。次に来た電車に
適当に乗り継いだりするとえらい目にあいます。
同じホームには一見特急列車風の、国鉄列車ムグンファが到着。
そのまま長距離列車に乗り換えたくもなりますが
地下鉄以外は、ほぼすべての列車に指定券が必要です
駅名、アナウンス、大抵は英語も表記、放送されるものの
難儀だったのは行き先表示。英語で表示されるのを
見落としたら、どこまでイケルかはギャンブルです
ソウルの地下鉄は新幹線並みの車体幅があって
車内も広々。物売りのおじさんが来るところは
ニューヨークの地下鉄に似てますが、歌ってくれる
パフォーマーは見当たりません。
地下鉄1号線もソウルから1時間近く離れると
沿線には住宅と長閑な田園風景が広がるようになって来ます。
駅番号100で始まる逍遙山 Soyosan/そよさんまであと少し、
駅番号107 楊州 Yangju/やんじゅで降ります。
ソウル中心部からは20km以上、まだ終点までは
さらに20kmほどありますが、かなり景色も
変わって来ました。
高架式2面4線のホームはまだ新しそう。
駅前の通りの光景も高島平辺りよりかなり先まで
来た様な感じです。バスは沢山来るものの路線も行き先も
番号やアルファベットがなければ、全くお手上げ
客待ちのタクシーと交渉して駅から一万ウォン分も走ると、
畑地を抜けて山あいのある場所に近づいて来ます。いったい何処に向かおうとしているのか?
そう、ここは撮影セットが組まれた
韓国民放『MBC』の元・撮影所にして
現在は撮影の終ったセット群を公開展示している
チャングムパークです。
そこで出会ったものは・・・・
連続ドラマ『大長今』(대장금:MBC,2003 )で主役チャングムと結ばれる
[ミン・ジョンホ様:閔政浩] に扮した某デスクでした。
ちゃあんと日本語のパンフレットも用意されていて
戸惑うことはありません。
さて、帰路ですが、タクシーもいそうにないし
最寄りのバス停まで10分くらい歩いて、教えてもらった
時間になると、マイクロバスの路線バスがやって来ました。
遠くの山あいの麓には大きな高層団地の一群が。
実はソウルといわず、各都市のあちらこちらに
見受けられる高層住宅。