2008年06月08日
私のラジオデイズ32
入社早々仰せつかった「社外モニター係」の仕事は、
毎日行なうものではありませんので、
普段は、放送現場の業務を一刻も早く身に付ける
ための研修が中心でした。
その研修内容とは・・・・・・
前にもお話ししたように、FM放送は営業も含めて
僅か30人程度の社員(当時は職員)で
運営されていましたので、放送現場の社員は
ミキサーも含めて15人程度です。
つまり、一人で4役も5役もこなさなければ放送が
成り立っていきません。
従って、研修はアナウンス技術の習得は勿論のこと、
番組の制作方法、取材編集技術、報道の基本と実際、
番組の送出、ミキシングの実際などなど多岐に渡りました。
ところが、一般公募での採用は私が初めてなので、
社内に研修のカリキュラムがあるわけではありません。
手取り足取りの教育など望むほうが間違っていました。
先輩たちはそれぞれ自分たちの仕事で精一杯です。
こちらから積極的に指導を仰がなければ教えては
もらえません。
遠慮がちにしていたら、たちまち嫌味や怒号が飛んできます。
そんな中で学んだ知恵は、「彼を知り己を知れば
百戦して殆うからず」の孫子の兵法でした。
(少々大袈裟ですが・・・・)
つまり、先輩一人一人の性格や嗜好を知り、行動様式を
観察(ご免なさい!)して、先輩が教えてもいいという
気分になった絶妙なタイミングを見計らって、
研修をお願いするという方法です。
これは易しいようで結構難しい処世術で、タイミングを外すと
逆効果となってしまいます。
また、度を超すと「ご機嫌取り」というレッテルを貼られます。
そんな失敗を重ねながら、なんとか先輩たちとの関係も
良好に保つことができ、間もなく本格的な研修が
スタートすることになりました。
こうした経験は、後に数多くの著名人に取材、インタビュー
する際の栄養素となり、自らの人生経験を豊なものにする
エネルギーの基となりました。
アナウンス研修でよく使われる言葉に「話し上手は聞き上手」
というのがあります。
アナウンサーは立て板に水のごとく喋るのが仕事と
思われるかも知れませんが、実は人の話をしっかり聞いて
それを伝えるのが仕事なのです。
タレントとアナウンサーの違いはそこにあります。
研修時代を通して、このことをじっくり学ばせていただきました。
またまた長くなってしまいました。
続きは次回に・・・・