2024年05月09日
文庫になった黒牢城
166回直木賞に輝いた時代小説が米澤 穂信の作品 | 黒牢城(こくろうじょう)です。
舞台は今の伊丹市あたり、南には織田信長の勢力、関ヶ原の決戦を控えた激動の時代です。
今で言うなら阪急沿線に「有岡城」(兵庫県伊丹市)を構え織田信長と対峙する戦国時代の武将=荒木村重 ... 通称摂津守、村重(むらしげ)は敵方の人質・黒田官兵衛を捉え、獄中に生かしておきます。
なぜ捉えた相手方のスパイを生かして置いたのか?
切れ者の官兵衛は、不可解な殺人事件の糸口をいとも簡単に解き明かしてみせます。
物語は序盤から謎解きの面白さを軸にどんどん読者を惹き込んでいきます。謎解きの後、第2章では夜討ちで挙げた成果についての一悶着。
どうやら敵将の首を討ち取ったらしい、が誰が殊勲を成したのか?それぞれに経緯の違うグループがいて、どちらが関与したかを見極めることはこれからの城内の統率にも大きく関わってくる問題・・・・
またもや村重は地下牢に赴き、官兵衛の知恵に頼ろうとします。
同じく直木賞受賞作の塞王の盾とはテンポも展開も異なりますが、戦国の世にあって武将たちのリーダーシップをリアルに捉えているところは同じ。
スピード感のある「塞王の盾」に比べて、推理小説タッチの黒牢城は一味違った読み心地で魅了してくれます。
果たして有岡城の行末は?摂津守村重の運命やいかに。あ、それから黒田官兵衛は牢獄から生きて出られるのか?・・・・・・結末も楽しみな一冊です。
そういえば伊丹の街並みにどこか武家屋敷のような佇まいの場所(伊丹酒蔵通りです)があったような・・・・・城跡は大きなイオンモールが建っていた場所でした