2024年05月07日

文庫になった塞王の楯

天下分け目の関ヶ原の戦いが起こったのは今から400ねん以上も昔の9月15日
その決戦を前にした滋賀県大津市の湖に面した大津城では東軍、西軍が間接的に対峙する代理戦争ともいうべき決戦が行われていた・・・・

城を守る側にも、そして攻める側にも当代1の職人の頭が陣頭指揮に加わっていた。城壁を築く石積みしゅうだん、穴太(あのう)衆を率いる飛田匡介(とびたきょうすけ)と、鉄砲鍛冶で最高峰の国友衆リーダー国友彦九郎(くにともげんくろう)だ。
最強のほこ(鉄砲)を作る職人と守りの要、盾=石垣の設計・構築集団が相対峙する舞台となったのが、現存しない大津の城。

この二人の半生から大津城の攻防までをドラマチックに、リアリティ豊かに描いたのが直木賞受賞作品 今村翔吾著『塞王の楯』です。
二人は共に最強の矛、盾があれば互いに戦意を抱かず、泰平の世に寄与するという発想の持ち主。
その二人が大津城を舞台に攻め手と守り手に分かれて直接対決したのが関ヶ原の決戦の数日前。

戦術を駆使して互いの攻略法を読み合う様は、頭脳戦とも言えるダイナミックなドラマを展開してゆきます。今村さんの筆致も実にテンポ良く、読んでいて知らず知らずのうちに分厚い本を読み進めていることに気付かされます。読み心地という評価軸があったなら文句なくトップクラスです。

Dsc03779さあ、大津城の決戦が始まります。琵琶湖の湖水を巧みに使った水堀を前に、一体どんな戦術で攻めるのか?4万の兵に対したった3千の兵糧では圧倒的不利な立場の大津城。待ち受ける運命は・・・・・・

実はまだ半分を読み終えたばかりですが、あっという間に読み終えてしまいそうな、ちょっと勿体無い気もしながら読み進んでいます・・・・・・

実は著者の今村翔吾さん、直木賞を受賞後に全国の書店を行脚してサイン会のリクエストに応えました。読書と直接触れ合い、評価を知りたいと言うのが理由ですが、ご自身も書店経営者と聞いて納得。 サービス精神に溢れ、読み手志向のこの作家の次の作品が早くも気になるところです

| 13:46 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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