2024年03月17日
Marcello Gandini (1938-2024)
カーデザイナーで有名どころは幾人もあれどベルトーネで活躍したガンディーニも指折りの名匠の一人
誰もが知っているであろうカウンタックをデザインしたのはもちろん、フィアットX1−9、フランスの大衆車ルノー・スーパーサンクやシトロエンBXにもその強い個性が伺えます。
他方、カウンタックの数年前には同じくランボルギーニの有名どころ=ミウラもデザインしていて、その守備範囲の広さを窺わせます。
カウンタックのネタもとになったのはランチァ・ストラトスZEROというドリームカーで、そのシルエットはカウンタックにも、現行型のプリウスにも一脈通じるものがある気がします。
フロントバンパーからウィンドウシールド頂点、そしてリアエンドへと流れるように続く五角形のペンタストリームはガンディーニによって産み落とされたと言っても過言ではないでしょう。
そのストラトスゼロは、のちに生産されるランチァ・ストラトスとは全く別のレイアウトを持ち、乗り降りするのは大きなフロントの一枚ガラス。これをパックリとワニの口のように開いて車の前から乗降します。縦列駐車やパーキングタワーの狭い空間ではちょっとつらいかも。
さらに、登場当時大流行していたミニスカートの女性は盗撮にも十分気を使わねばならないでしょう。もう一つ、サイドにウィンドウらしきものが見当たらないのも不思議なポイントで、実際はスリット状の覗き窓があるので側方視界も得られますが開放的とは決していえません。
カブリオレを作りにくいのも特色で、これはカウンタックにも引き継がれているようです。
一方、フランスの大衆車ルノー・サンクの第二世代では、無骨だったボディラインを有機的に組み合わせて、スムースな平面の組み合わせにアップグレードしています。
逆にシトロエンの主力車BXはゴルフよりも更に直線のシャープさが浮かび上がっていて、周りの車を全て時代遅れに感じさせるほど近代的な印象を与えました。
前述のストラトスは名前こそ引き継ぐもののラリーカーとは思えない前衛的なデザインとスーパーカー並みのフォルムに熱狂的なファンが今も絶えません。
意外なところではルノーサンク初代に加えられたターボとターボ2も!
数々の名作を残したガンディーニ、まさしく世界の街並み、風景の一部をデザインした と言ってもいいくらいです。生涯に一度くらいは彼の作品を足にしてみたいと思うところですが、実はマツダの三代目コスモと四代目ルーチェも彼の作品なので、知らずにタクシーキャブを愛用していたことになります。