2024年01月20日

slim月に降り立つ

日本の月着陸実験機スリムが月着陸に成功しました。
世界で5番目、インドには先を越されましたが世界に誇れる成果です。

いえ、5番目が偉いのでは無く、問題は降りたい場所に正確に降りたということです。
スリムは高度15000mの高さからほぼ20分で軟着陸に成功!高度500、50、2mでホバリングを繰り返し、ここで写真データと照合しながら着地点に進みます。この辺りでは既に垂直着陸モードに移行しています。

日本時間では午前0時20分ごろ、テレメトリーのデータが高度ゼロを発信しエンジン停止を確認。ミッションは見事成功しました。


が、記者会見に臨んだjaxaのスタッフは険しい顔
というのも太陽電池パネルの発電を示すデータが送られて来ていないからです。
内蔵バッテリーの寿命はあと数時間。電力のあるうちに着陸データを地球にダウンリンクしなければなりません。
当然中には着陸前に撮影した月面写真も含まれます。
これらを電池が切れる前に送信しなければ正確に着地点に降りたかどうかの答え合わせができなくなります。
【後日判明したデータによると・・・・着陸直後。太陽電池からの電力が得られていないことが確認された時点で幸運なことにSLIMとの通信は可能。電力が確認できないときの手順はあらかじめ決められていてSLIM搭載バッテリを用いて、管制室では直ちに異常時対応手順を実施。着陸直後から2時57分に探査機電源をオフにするまで、管制室のメンバーは冷静に作業を行った結果、画像データを含むSLIMの各種データをすべて取り出すことに成功。それだけでなく、着陸後に観測が予定されていたマルチバンド分光カメラによる岩石の観測も45分間にわたって実施することができたそうです】

さて太陽電池パネルが今どっちの方向に向いているのか?これが問題です。月面では29日余りで太陽が同じ場所に戻って来ます。ひと月の半分が昼で半分が夜。夜間の無電力は当初から想定された事態なので問題は昼間のうちに太陽発電を再開できるかどうかです。

電力のあるうちに必要なデータが得られるかどうか?jaxaでは必死の時間との勝負が続いています。

さあ、結果はどうだったのか?データ解析が完了し、目標地点から東に55mしかずれていなかったことが分りました。
新幹線車両で2両ちょっと、まあ、乗降ドアを間違えてもそんなに歩かずに行ける距離です。

見上げると夜空に浮かぶ月の右寄りの辺りに日本の探査機が降りている!と考えただけでもお月見に臨む気持ちが変わるかも?

ミッションとしてはほぼコンプリートと考えられるので、まずは大成功をお祝いして次の満月にはお団子をお供えしたいと思います。

| 02:19 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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