2024年01月11日
perfectなdigital detox Days
役所広司が演ずるトイレ清掃員はフィルムを詰めたオリンパスのカメラ「μ」を愛用し、愛車サンバーのカセットデッキでテープを聴き、眠りにつく前は文庫本を読み耽る・・・・・
ガラ携以外にはデジタル・デバイスを一切使わない、アナログな日々をパーフェクトに送っている。
それで何の不自由も感じない。趣味は植物の水やりと車で聞くカセットテープ。それに浅草地下街で毎晩の一杯。ちょっといいことがあった日は夢にまで見る。
カンヌでその演技が認められた役所広司のシナリオにはどんなト書きが書き込まれていたのだろう?
テキパキと清掃作業をこなし、表情のみで多くを語る。そんな彼は全編ほぼ出ずっぱり・・・・・・いったい最後までセリフなしで通すのかとヤキモキ
当初陶器メーカーのPRフィルムとしてスタートしたこの作品は画面サイズも地上波アナログテレビと同じ4:3
だけど不足は感じない。当初は短編映画数本の企画としてスタートしたのをプレゼンテーションされたヴィムベンダース監督が映画サイズに!
隅田川周辺を多くロケ地に選び、首都高の走行シーンもふんだんに取り入れた東京下町PR映画のようでもある。首都高の移動シーンは映画に音楽を挿入させるための尺合わせだったそうだ。
もちろんさまざまな形のユニークなトイレも登場。ヒラヌマの仕事、道具には実は実在のモデルがいるそうである。
彼の演技がなぜこんなにも高い評価を得たのか?それは、もちろん実力とキャリアに加えて脚本や企画の勝利でもある。
主演男優以外にもこの映画を見ていてなんとなく、監督自身が尊敬する小津安二郎の作品を見ているような、不思議と安らぐ感覚を覚えた。まるで21世紀に小津監督が作品を撮っているようだ。
一体彼は何者なのか?なぜこんな暮らしを好んで・・・・・・totoのPRのはずが実は役所広司のPRにもなってしまった、映画:パーフェクト・デイズ。
小津作品ファンには絶対見てほしい、いや石川さゆりファンにも三浦友和ファンにも・・・・・