2023年12月11日

ガザsubway

茶沢通り沿いの書店twililightで見つけた
「ガザに地下鉄が走る日」 みすず書房(本体:3,200円)(電子書籍あり)
著者の岡真理さんは京大名誉教授を務めるアラブ通.
学生時代から国境と国境の間に存在する空白地帯、難民問題に着目し、この本も2016年に出版・・・・第五刷を重ねて今、店頭に・・・・

イスラエルを襲ったハマスの蛮行、・・・・・と世界には伝えられる10月のあのテロ攻撃、
がしかし、イスラエルがこれまでに散々パレスチナの民に向かって行ってきた行為の繰り返しにしか過ぎません。

でも暴力の連鎖という言葉に著者は異議を唱える。
パレスチナが受けてきた不条理極まりない暴力、人権無視、そして虐殺の数々
膨大な数のインタビューが本書の大半を占めるのにイスラエルへの批判めいた表現はあまり目立たない。(ない訳では無いけれど)あくまでも事実を列挙することで無慈悲、かつ非人道的ユダヤ人国家の行為を詳らかにする。

日本には存在しない国境線、生まれながらにして国籍も人権も認められない難民と呼ばれる人たち、我々の周囲にはない境遇をその歴史を交えて詳しく語る一冊。

ただ、イスラエルが70年位に渡ってパレスチナの民を苦しませ続ける動機や、それをみてみぬふりをする西側社会、とりわけアメリカの立ち位置についてはこの分厚い本でも語られてはいない。
その疑問はこの本の中には見つからなかった。著者はあくまでもパレスチナの側に立ち、不条理な犠牲を強いられる現状を詳細に述べている。
加えて、ニュースに取り上げられない通常の攻撃や犠牲についても問題視している。パレスチナの声が届いていないと訴える。
逆に言えば、まだまだ伝えられていないイスラエルの実情というものがまだまだたくさん存在する、とも訴えているかのようだ。

ISBN 978-4-622-08747-2

表題のガザ地下鉄はもちろん現存しない。それは海外でアート作品として発表された精巧なガザの地下鉄路線図を語ったものだ。
東京やソウル、上海のような複雑な路線図を模したそのネットワークを見ると、ガザから地下鉄で直接エルサレムに乗りこむことも、ガザの海岸まで日帰りで泳ぎに出かける夢も実現できる。

| 21:30 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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