2023年10月20日
みちのくroad story
今読んでいる時代小説が浅田次郎の流人道中記・・・・ようやく読み終わったところです
江戸から北海道までおかしな二人の珍道中を描いたロード・ムービーのような浅田次郎の人気小説です。
日光街道を北へ、福島、仙台を経て東北路を花巻、盛岡と北上し野辺地から浅虫、青森、三厩と東北本線や旧津軽線のルートを辿ります。
どんなふうにおかしな二人の組み合わせかというと、現代風に言えば破廉恥な罪で遠く北海道の流刑地まで護送されることになった一流官庁の次官あたりと、これを護送するよう命じられたペーペーの新米巡査。(おまけに新婚)
当然飛行機のない江戸時代故に移動手段は徒歩(もしくは駕籠)。何故か潤沢な資金を懐に泊まり歩く宿場でさまざまな出来事に出くわします。
例えば指名手配中の極悪犯と賞金稼ぎの指名手配犯ハンターがたまたま同宿した現場に居合わせたり、親の仇を打つために殺しのライセンスを特別発給された二代目とその仇=御本人が鉢合わせ・・・・・
まるで作り話のような出来ごとに、流刑の身である高級官僚はたちどころに妙案を提案し、八方丸く収めてしまうという痛快なドラマの連続。
浅田次郎の作品では大名倒産を読み終えたばかりでしたが、こちらも負けず劣らずのユニークな設定と痛快なストーリー展開が魅力で、手にした文庫本を手放せずどこにでも持ち歩く現状です。
今や、電車の中で髪の本を開いてニヤニヤしている人も珍しくなりました。が、ようやく上・下巻を読み終えたところです。
読んでいて、もし映画にするなら誰をキャスティングするだろう?と考えたらある経済評論家が頭に浮かびました。アノ人なら、この高級官僚役にピッタリです。
19歳の若い巡査は今お芝居で活躍中の・・・・・新妻を江戸に残して我が儘ものの官僚に付き合わされる若き巡査のキャラを見事に演じてくれそうな気が・・・・
物語のラストは旅の終着点:津軽半島の先まで到達したところで二人揃って江戸に取って返すか、おっかいd
そもそも、なぜ切腹を命じられながら北海道への道中を歩むことに相なったのか?
文庫版の解説はbookbarを長年担当してくれた女優の杏さん。さすが読書家だけあって、鋭い指摘にも唸らされます。多分この解説を先に読んでしまったら、もう買わずにはいられなくなることでしょう。そんな魅力的な一冊でした。