2023年01月13日
大名倒産(文庫版)上・下
浅田次郎の人気作品、大名倒産が文庫版化されたので早速読みました
借金まみれの大名が計画倒産を目論む架空のお話ですが、どうやら実際に負債を抱えた大名は幾らも実在したようで、この本と同じような筋書きを考えた藩主がいたとしてもおかしくはありません。
巻末の対談にもありますが、江戸期の話なのに今日に共通する要素がてんこ盛りです。
江戸時代のみならず現代の日本国だって歳入金が60兆の時代に100兆の予算を組み、累積負債は1100兆と小説さながらの借金地獄・・・・こちらは現実の話です。
村娘の子として生を受けた四男だったのに兄たちの急逝もあって、越後のお殿様のお世継ぎとして若干21歳ながら世襲することになった小四郎、・・・・・父の目論見はこの男に責任を取らせる形で藩を終わらせ、巨額の借金を帳消しにしようというもの。
果たしてそんな荒技が通用するのか?借金は返済の見通しが立つのか?
恵比寿様や弁天様、死神や貧乏神も加わっての大騒動は歴史的エンターテイメントと呼ぶにふさわしい楽しい読み物です。上下巻のぶ厚い本がこのほど文庫化されました。
物語の舞台=江戸城を囲む城下町の地名は今も残る馴染みのものばかり、想像を逞しくしてたかだか百数十年前の光景を想像してみるのも面白いでしょう。
まあ大河ドラマの題材には選ばれる事は多分ないでしょうが、是非ネット・フリックスあたりでドラマ化してもらいたい一大エンタメ傑作です!