2023年01月12日
avro lancaster
12日イギリスを訪問した岸田総理は英国のスナク首相との間で日英部隊間協力円滑協定(Facilitation Agreement)を結びました
読んで字の如く、太平洋に展開したロイヤルネイビーの兵隊さんと自衛隊員が離島でおやつを分け合ってもいい・・・・だけではなく入国審査の免除とか武器弾薬の持ち込み手続き簡略化も含まれます
このほかに政府は昨年、敵のミサイル発射拠点などを攻撃する「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有を明記した安全保障関連3文書を閣議決定しています。
防衛予算増大のカナメの敵基地攻撃能力・・・
今の日本には自衛力から逸脱する、敵の基地攻撃能力を満たす兵器はありません。
現実的には実績のある長距離ミサイル生産国から購入することが有力で数少ない候補です。これがもし、ミサイルの誕生以前の時代だったなら・・・
第二次大戦当時連合国の一員、イギリスが枢軸国側への反撃能力を得るべく、プロペラ四発機の爆撃機;アブロ・ランカスターが開発されました。
これが敵国の猛攻に反撃し連合国を勝利に導いた英雄と称えられています。
当時の四発機はアメリカのB29に代表されるように星型エンジンを四発並べたものが多く見られます。が、誉れ高いランカスターのエンジンは、P51ムスタングと同様ロールスロイスの直列12気筒エンジン。
細長いエンジンナセルが後のターボプロップ機のようなスマートなシルエットを際立たせています。
ランカスターの攻撃ソーティが戦果の実に3分の2を占めたというから大殊勲章ものです。
ランカスターの任務は爆撃ソーティー、つまり自国では無い領土の攻撃用施設を叩くこと。すなわち敵基地攻撃が目的です。
ランカスターなかりせば連合国は勝てたのか?安易な推論を挟むことはできませんが、敵の攻撃能力を潰しておくことが戦略上不可欠であったことは明らかです。
ミサイルが国境を超えて飛び交う現代に於いては爆撃機が不可欠だとはおもいません。が、専守防衛だけではミサイルによる攻撃が防げないことも理解できます。ウクライナの街を見るまでもなく飛んできたミサイルを撃ち落とす、といった単純な対処法が有効であるとはとても言えません。攻撃用ミサイルの発射能力を殲滅するには相手の領地内まで赴いて攻撃することが不可欠であるということを80年も昔のイギリスの爆撃機が教えてくれているような気がしてならないのです。