2022年01月27日

media_mixという手法

映画「サタデー・ナイト・フィーバー」の大ヒットはアメリカばかりか日本も熱狂の渦に巻き込みました。
映画がヒットしただけではありません。サウンド・トラック盤はベスト・セラーとなり、ここから5曲以上が連続してシングルカットされ、ヒットチャートのトップを半年近くも一つのレコード会社が席巻する記録的な大当たりとなりました。
この戦略をきっかけとして、メディア・ミックスという考え方が広まります。他メディアをライバルとしてではなく、宣伝媒体と捉えて協調し、複合効果を狙おうという戦略です。
映画を観た人はアルバムを買いに走り、感動の余韻に浸る。ヒット曲を繰り返し聞いたリスナーはどんな映画か、観に劇場へ足を運ぶ。映画と音楽業界が双方を宣伝媒体として補完関係を結ぶ最初の成功例と目されているのがこの映画でした。

日本でもすぐさま応用した会社があります。角川書店の御曹司が始めた映画製作、その映画音楽をヒットチャートに送り込み、更には書店でも原作本のプロモーションを展開する。この戦略からは機関銃を持ってカ・イ・カ・ンと口走る薬師丸ひろ子、時をかける原田知世、といったスターが生まれ横溝正史の作品がベストセラーとして広く愛読されることになるのです。
金田一耕助が登場する横溝作品は何本も映画化され、そのたびにTVCFが繰り返し放送されて、男子はプールの季節になると必ずと言っていいほど、水上であのポーズを真似したものでした。シンクロナイズドスイミングが知られるよりもずっと前の話です。

CMや書店でのセールのみならず、映画の主題歌を歌ったジョー山中の「人間の証明」がヒットすると、映画、書籍、音楽というメディアがセットで売れるというメディアミックスの効果が一層顕著となります。それは主演女優が歌う、セーラー服と機関銃然り、原田知世の時をかける少女然りで、このころからは映画のヒットと主題歌のヒットは切っても切れない関係となってゆきます。
ヒット曲と結びつける手法はテレビドラマにも多用され、最近の例では逃げ恥の恋ダンスがいい例です。こちらは動画サイトをも巻き込んだ社会ブームとしても捉えられ、ネットをメディアミックスに取り込んだ新たな例にも挙げられるでしょう。

反面、ネットの普及で苦境に立たされた雑誌というメディアが、これから先反撃の狼煙を上げるとするならば、こうしたメディアミックスの手法をとるのも選択肢に挙げられるのではないでしょうか?QRコードを多用することで紙面には表現できない音や動画の世界をリンクさせるとか、購入者にのみ閲覧権利がもたらされるようなサイトへの誘導を袋とじに織り込むとか・・・・
新聞というメディアも、記事に対してのコメントや同意といったレスポンスをリアルタイムで表現できる媒体を共存させることで、より付加価値の高いメディアへと脱皮を図る日が来るのかもしれません・・・・・

| 22:44 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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