2021年12月09日
熱狂の発火点
伊藤家にシーマが納入された1990年、それはF1シリーズに於いても衝撃的な一年でした。
まだ本田宗一郎もアイルトンセナも健在だったこの年、タイトルを激しく争っていたのはフェラーリのプロストとマクラーレンホンダのセナ.10月の鈴鹿は世界一を決める決戦の場となったのでした。
プロストは前代未聞のF1シリーズ44勝を挙げていて勇躍鈴鹿に乗り込む。そして運命的なスタート。
アウト側から先行したプロストの後輪とインを刺そうとしたセナの前輪が高速回転しながら接触!二台はもつれる様に1コーナーの外側へ。ここで2人のバトルは終了。セナのワールドタイトルが決まってしまう。
続く2週目にはマクラーレンホンダのベルガーもセナと同じ場所でコース上のグラベルに乗ってコース外に!たった2週で本田宗一郎さんの前からホンダエンジンの咆哮が聞こえ無くなった!
フェラーリのもう一台、マンセルもあえなくストップ.トップ2チームを欠いた鈴鹿で先頭を走っているのは?
レースの前の週、イタリアのお菓子メーカー御曹司でベネトンドライバーの有望株ナニーニが自家用ヘリの事故で右手を一時失う大事故に遭っていた。急遽ナニーニのシートに座ったのが、この鈴鹿で2番手を走っていたピンチヒッターのロベルトモレノ。トップは同じくベネトンのネルソンピケ
そして3番手には?
ここにランボルギーニの重い12気筒エンジンを積んだラルースの鈴木亜久里が走っていました。燃料がもつかハラハラの状態、でもチームの計算ではOK
三台はそのままゴールしてベネトンのワンツー、日本人初の表彰台3位を鈴木亜久里が獲得という誰もが予想できなかった結果となりました。
更に予想できなかったのはこの日を境に日本のF1熱がブレイクし、女性誌さえもがF1特集を組む空前のF1バブル時代が到来するのです
それを実証する様に翌年の鈴鹿日本グランプリの中継は視聴率が月9並みの数字を叩き出したのは今でも語り草です。
動画サイトでたまたま見かけた総集編を見ていたら振り返らずにはいられませんでした。もうすぐ決着する今年のF1グランプリ.フェルスタッペンはホンダエンジンの有終の美を飾る事が出来るのか?このところ好調のメルセデスが美酒に酔うのか?泣いても笑ってもあと一戦。
歴史に残る一戦になるでしょうか?