2021年11月03日
dancing shoes
レコードセールスという言葉も90年代に入るとCDセールスという言葉に表現が代わります。
で、80年代のレコード全盛の時代にシングル盤を連続24枚も連続してチャートの一位に送り込んだ歌手が1人だけ日本にいます。
3ヶ月毎にリリースしても6年掛かる大偉業を成し遂げたのは言わずと知れた松田聖子。何故そんなにもトップを走り続ける事が出来たのか?
勿論透き通る様なハイトーン・ヴォイスは最大の魅力ですが、松本隆という稀代の才能を持つ作詞家と出逢えたこと、それが縁でユーミンをはじめ優れたアーティスト達とコラボ出来たこと.そして飲料メーカー,コスメ業界を始め多くのスポンサー企業とタイアップすることで、メディアを縦断する広告戦略に組み込まれた事も見逃せない。
聖子ちゃんカットと俗称される髪型を始め幅広い女性層に支持された事もヒットには不可欠な要素.人気者だけにメディアの餌食にされる事も少なくは無かった。
松本隆が描いた詩の世界は高中正義のレコードジャケットや鈴木英人のイラストを思わせる様な、カラフルで爽やかなウェストコーストタッチの作風で、翳りや悲哀というものを感じさせぬ無限の明るさを放っている.
これと対局に位置するのが毎週の様に一位を競った中森明菜の存在.ハスキーで繊細な歌声はその歌唱力もさることながら聖子が描かなかった陰の部分を見事に商品化し、上手くバランスを取って居たのが興味深い。
そんな聖子も一時は全米進出を意識した時期があったらしい。注目したいのはdancing shoesとタイトルされたシングル盤の存在だ。
彼女の英語の発音は業界でも評判が高い。忙しいはずのスケジュールを縫ってレッスンを重ねた賜物だとか。その完成度は高く、もっと評価されても良い楽曲だと個人的には思っているお気に入りでもある。
昼間から9時間も費やした他局の松田聖子オンリーの大型番組企画ですら、流石にここまではカバーしきれていない。それほど彼女の財産は膨大なものだ!
竹内まりやのプラスチックラブが今頃になって評価されている様に80年代には名盤,秘蔵盤と呼ばれる名作がまだまだ埋もれている。
レコードの日の今日はそんな80sにも再び目を向けて欲しいものだと思う。