2021年07月10日
ONODA
本当ならば今頃日本の若い女性たちも多くが訪れていたはずのフィリピン・リゾートアイランド群
でも太平洋戦争中は日本から若い兵士たちが数多く戦地としてのフィリピンに送り込まれて行きました。
小野田寛郎(おのだ ひろお)少尉もそんな若者たちの一人でした。
太平洋戦争が終わって二十年以上が経ち、どうもフィリピンに終戦も知らされないままの残留日本兵がいるらしい、とは噂にはなっていたものの1972年にグアム島で発見された横井庄一さんの祖国帰還のニュースの前にはしばし忘れられた存在でした。
そんなフィリピンで噂の日本兵に何とかコンタクトしようと、探検部出身の鈴木紀夫青年がルバング島に渡ります。
付近の住民の話では、ずいぶん昔から旧日本兵が目撃されており、うち一人は銃撃戦の末亡くなったとか。不確かな情報をもとに鈴木青年の探索は続きます。
そして1974年、ついに小野田少尉と接触に成功・・・・・しかし、小野田少尉は陸軍中野学校で諜報戦、スパイ教育をを叩きこまれた生え抜きのエリート。そう簡単に日本人の格好をした人物の言葉を信じようとはしませんでした。
少尉の中では命令は絶対のもの。たとえ終戦だろうが何だろうが自らのタスクを放棄することなどありえません。
そこで日本に連絡した鈴木青年の元に元の上官;谷口参謀部別班班長直々の命令書が託されます。
「天皇の命令によりすべての作戦行動、全任務を解除する」旨の上官直々の命令とあっては、大切に維持してきた銃剣と共に、その身をもって帰国せねばなりません。
小野田少尉は晴れて正式に長い孤独な戦争を終えて、帰国の途につきます。
30年遅れで青春を取り戻した小野田さんは、結婚後ブラジルへ。牧場を開拓し、帰国時には小野田自然塾を開講して少年少女らに「日本の青少年が心を歪めないために何か貢献したい」・・・と、実践で鍛えたサバイバル術を伝授し、有意義なワークショップを展開します。
・・・・・そんな小野田さんを描いた日仏独合作の劇映画「ONODA」がカンヌ映画祭で「ある視点」部門に選ばれ、7日オープニング上映でワールド・プレミアされて大喝采を浴びました。15分もの長いスタンディングオベーションを受け、アルチュール・アラリ監督は感無量の様子を見せたとか。
作品の評価も「賞レースの最有力候補作」という呼び声が高く、日本での全国公開(秋予定)も今からとても楽しみです。