2021年05月10日
子規の聴いた音
今週からバードウィーク、愛鳥週間です。
今読んでいる子規の音では、正岡子規が様々な身の回りの音を句に織り込んでいるのが分かります。ホトトギスは同人誌のタイトルにも採用されるほどのお気に入り、子規が住んだ子規庵が面しているのはウグイス横丁。
上野公園からも程近く東北線の線路からも見える根岸や谷中の界隈には鶯やホトトギスが当たり前の様に鳴いていた20世紀初頭の光景が思い浮かびます。
正岡子規と言えば長く病床に伏し夭折した天才のイメージがありますが、実は引っ越し魔にして精力的に活動する新聞「日本」記者、日清戦争に従軍取材したり明治三陸大津波の被災地取材にも赴いていたことが判ります。
夏目漱石に森鴎外、河東碧梧桐や高浜虚子、故郷の後輩や東大の学友、その他新聞社や俳句の会を通じて実に豪華なキャストが登場します。病魔に冒されることなく活動を続けたら、さぞや文学の世界でもより大きな影響をもたらしたであろう事は容易に想像がつくところです。また後々影響を受けた作家たちが日本の文学界の主軸を為して行ったことはここに記すまでもありません。
もしも子規が現在の谷根千を目にしたら、鳥の鳴き声のお粗末さを嘆いたでしょうか?それともペットショップに並ぶ色とりどりのインコを見て所有欲を刺激されたのでしょうか?
横浜の私実家周辺なら今でも鶯の鳴き声が聞こえるはず、いやペットのシマヘビ捜索で大騒ぎになっているかな•・・?