2021年01月16日

US1549

オバマ新大統領の就任式を目前に控えた2009年1月のこの日、US1549便エアバスA320型機はニューヨーク、ラガーディア空港を離陸直後、バードストライクに逢い両エンジンが停止という緊急事態に陥りました。

トムガンクス主演の映画でも、各地の航空マニアのシミュレーションでも詳細な飛行データが残され、公表されていますが今更ながらその神業ともいえる決断と勇気には大きな感動を覚えます。

さて、サレンバーガー機長がエンジン停止の後大きく左にかじを切ってハドソン川河口に機首を向けていますが、ここで一体どのような計算と判断がなされたのか?航跡や交信記録を見ると、数キロ先にローカル空港もあったので緊急着陸する手段も選択肢としては残されていたはずです。映画にも描かれた通り、プロの機長たちが実際にシミュレーションした結果着陸可能だったという結論も導き出しています。サレンバーガー機長は後の裁判で乗客を危険にさらした件で訴訟されてもいました。

ラガーディアの空港を北に向けて離陸、マンハッタンに背を向けて離陸する1549便は、ちょうどハドソン川にかかるつり橋、ジョージワシントン橋の東側でトラブルに巻き込まれます。最初から川への着水を試みるなら右にかじを切って川の上流を目指す方法もあった筈。

しかし、機長は左にUターンするような形でハドソン川左岸に沿うようなコースを選びます。空港はいち早く緊急着陸の許可を返答、しかし高度はどんどん失われるばかり。

操縦席の眼下にはジョージワシントン橋の高いつり橋が迫っています。これを飛び越えないことには橋に激突!すれすれで上空を通り過ぎたときの高度は1000フィートあるかないか、ヒルズの屋上のすぐ上位の高度でした。

その最大の難関を通過して機体は徐々に減速、高度もどんどん落ちていき、左手にはセントラル・パークやブロード・ウェイの賑やかな街区も間近に迫ってきます。速度140ノット、失速寸前の速度まで落として機体はやや頭を上げた3点着陸の姿勢で着水。着陸よりもはるかに強いマイナスGを受けて、あっという間に停止しました。機長はあらかじめ着水前に乗客たちに耐衝撃姿勢をとるようアナウンスしていました。

あとは各メディアで既報の通り、多数の小型フェリーボートが救助に駆け付け、一人の犠牲者を出すことも無く、ニューヨークの新たな伝説の仲間入りを果たしました。英雄とたたえられた機長は大統領就任式にも招待され、喝さいを浴びることになります。のちの裁判でもプロのシミュレーションには状況判断や決断までに必要な時間が含まれていなかったと証言し、自らの行動が正しかったことを証しています。

あの瞬間、パニック状態の僅かな時間の中で、機長は緊急着陸は不可能と判断。着水後の救援のことも考えて、あえて河口に近い、賑やかな下流側を目指して、わざわざジョージ・ワシントン橋を越える決断まで下していたのか・・・・・・と、その超人的で冷静な判断力と誰も練習したことないジェット旅客機の緊急着水という離れ業をみせたのです。

巷で評価されている以上に、実は機長は非常に沈着冷静でどんな困難な時も正しい答えを導き出してくれる・・・・・こんな宰相が一国の国政を預かってくれたなら・・・・・昨今の国会答弁を見るにつけ、あの人が総理だったらどんな判断を下しただろう、そんな妄想が浮かんでいます。

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注;これはあくまで私見であり、サレンバーガー機長の真意がどうであったかは、いつの日か是非直接お会いして確かめてみたいところです・・・・

| 01:20 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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