2021年01月09日
隈研吾「ひとの住処」
新しい国立競技場や高輪ゲートウェイ駅の設計者として脚光を浴びている隈研吾さんは東急東横線沿線で暮らし東京五輪1964の建築群に目を見張った少年時代を過ごします。
大阪万博やプラザ合意と言う歴史の節目をどのように迎えて建築デザインの人生を歩んできたかを綴っているのが著書「ひとの住処」です。
名だたる有名建築家のエピソードもふんだんに登場し、最初に新国立競技場のコンペを勝ち取ったザハ氏についても触れています。
昭和から平成への建築と政治の関係を辿っていけば、自ずとこれから進むべき道も見えて来そうです。単純に建築デザインの話に終始せず、取り巻く政治や経済の環境がいかに建築を変えていくか?とても興味深い視点から語られているのがこの本です。
二度目のコンペで→と新国立競技場の設計案が採用され、ザハ案は葬り去れたわけですが隈デザインはどこが違っていたのか?その設計思想に秘められた思いは一朝一夕に生まれたわけではなく、これまでの人生の様々な経験と経済・社会の変容がもたらした集大成であることがわかると思います。
読破した後で、改めて新国立の客席に座って一大スペクタクルを見られる日が‥‥早く来ることを待ち望みたいものです。