2020年07月07日
カセットテープダイアリー
黒人暴行死事件にコロナ禍にまつわるレイオフ、人種差別や職業に関する問題とそれらを大きく左右する政権選択の問題・・・。
映画・カセットテープダイアリーを取り巻く環境が、これほどまでに現実の世界とシンクロしているのは奇跡か!と思える程の偶然です。撮影開始や企画の段階で世界がこうも変化している事をどうやって予想できたのか?出来る訳がありません!
世の中がこの映画のお膳立ての為にこうなってしまった、としか説明のしようがないのが、カセットテープ・ダイアリーの最も驚くべき点です。クイーンやエルトン・ジョンを描いた伝記物の音楽映画が大ヒットした中で、ブルース ・スプリングスティーンという歌手にフォーカスしたのが今回の作品。ですが、主役はその歌詞とメッセージ性に魅入られたパキスタンからの移民少年です。
舞台は80年代のど真ん中、ロンドンから遠く離れた田舎町で何とか殻を破ろうと腐心する大学一年生。彼女も欲しいし好きな道で成功したい、でも実際は親の敷いたレール上を走らされ近所の子供にも同級生にもイジメを受け、挙句に父は解雇、生活は困窮するばかり。
字幕の歌詞や歌声を聴いていると何となく尾崎豊の姿が見え隠れします。同様なストーリーで尾崎版カセット...を作ったら日本で大受け間違いなし?
実話をベースにスプリングスティーンの楽曲もふんだんに登場、綺麗に整備されたヴォクスホールや英国車の旧いタイプが登場するところも見どころの一つです