2020年02月02日
2030
東北の大学院を舞台に巨大な医療AI(人工知能)システムを開発した研究者が社会騒乱の嫌疑をかけられ、地下水道を逃げて回る・・・・伊坂幸太郎の作品を連想させるような筋書で始まる、映画「AI崩壊」は、伊坂作品とは全く関係なく入江悠監督のオリジナル脚本です。
これが実に秀逸な脚本で最後までドキドキハラハラの連続。ノンストップSFサスペンス。アクション大作でありながら犯人捜しのヒントもふんだんに仕込まれており、エピローグにはしっかりと映画の主題である人工知能と人間のあるべき関係が描きこまれている・・・・・・・
今年、これから登場する映画でもこれだけ充実した、完成度の高いシナリオはなかなか見つけられないのではないか、そう断言してしまいましょう!
舞台は高度に人工知能、ユビキタス社会,IOTが発達した2030年の日本。誰もが高度に発達した医療用AI人工知能ネットワークで結ばれ、そのコア、ベースとなるマザー・サーバーが暴走をはじめ、田中総理(余貴美子)が急死してしまう。一人の研究開発者が社会騒乱の嫌疑をかけられ、地下水道を逃げて回り・・・・先回りして足取りを突き止めたのは、経験豊かな老練刑事だったのだが、容疑者の逃走車両は崖から飛び出し・・・・・
巨大ネットワークを構築するシステムのコア・サーバーが、バックアップも無く、たった一基しかなかったとしたら‥・・・という寓話です。が、あながちあり得ない話と笑い飛ばすのは難しいのかもしれません。
これまでの十年でi-phoneやアンドロイド端末がどれほど増えたか、街中の監視カメラやドライブレコーダー、お天気カメラがどれだけ増えたかを思い起こしてみると、十年以内に映画で描かれるような社会が実現していないとも限りません・・・・・女性の皆さん、着替える時はなるべくスマートフォンの無い部屋でね♡・・・・(あくまでも将来のハナシ)
どんなにスリリングな物語が展開するかは映画を見てのお楽しみ。豊富なニュース資料映像や局アナが読み上げる劇中ニュースがあまりにもリアルなのは日テレ制作ならでは。
ちょっとネタバレになりますが、難しいのは2030年の日本の光景をいかにリアルに仕上げるか...とりわけ登場する車両を全て2030年仕様にすることまでは不可能でした。でも、何とか未来っぽさを演出しようと引っ張り出されてきたのがフィアット・ムルティプラ(ELX;1998)といすゞのビークロス(1997)。あまりにも先鋭的過ぎるデザインのためにかえって時代に取り残されてしまった珍車と思われていますが、映画では2030年を彩る未来カーとして大役を果たしています・・・・といってもクラッシュして廃車の運命なのが、残念ですが・・・・・
主演;大沢たかお、松嶋菜々子ほか、制作;日本テレビ