2019年12月17日

自動ブレーキ

ドライバーがブレーキを踏まなくてもクルマが障害物を検知して手前で停止(減速)させる自動ブレーキの義務化が決まりました。二年後のの東京モーターショーのころには販売されるすべての乗用車などに自動ブレーキが装着されます。
実際、今販売されている新車もかなりの割合で標準装備化しているアイテムで、任意保険料の値下げも期待できるスグレものです。
一般的にはアイサイト(商標登録)などの名称で知られている自動ブレーキ、開発のリード役はこれも日本が担っていました。

今では画像認識カメラとレーダーを併用した方式の方が一般的になりましたが、スバルが最初に開発した当時は電波を使わず、カメラがとらえた映像だけで画像を解析するシステムでした。その幹となる技術は「測距」‥・・・戦艦大和以来、日本が心血を注いできた技術でもあります。
スバルのアイサイトが前方の障害物との距離を測定する手段は二つあるカメラの画像の位相差(パラックス)をもとにしていました。戦艦大和と全く同じ方法です。ただし演算速度は比べ物にならないほど早く、人間の反射神経をはるかに上回る反応時間でブレーキ液を加圧します。


imgp8909.jpg一方、現在普及しているのはレーダー併用式、画像に映らない真っ暗闇でも効果を期待できます。......これってカメラのオートフォーカスの変遷にも似ていませんか?
ジャスピンコニカがピンボケ写真の不安を大幅に減らしたのは今から40年以上も前のこと。測距の手段はビームを発射して反射波の到達時間を図る‥‥つまり今、普及している自動ブレーキにも似ています。

一方、カメラの測距技術はレンズ越しの画像のボケ具合から判断するやり方が主流になりました。ミノルタのαシリーズが世界に先駆けて実用化したものです。今ではカメラの測距方法は大半がこの理屈を応用したもの‥・・・クルマの測距技術とは逆の変遷を辿っています。

クルマの測距に話を戻すとスバル・アイサイトのステレオカメラよりもレーダー併用式の方が圧倒的に普及しています。たぶんこれからも。
ただ、一つだけ中止してほしいのは、レーダー式を採用している車はセンサーユニットからマイクロ波(波長のごく短い電磁波)を照射し続けているので洗車の時などは、かならずイグニッションをオフか、アクセアサリー位置にしておくように......間違ってもビームの照射口をのぞき込んだりしないように、車を買ったら(リース車を使う前に)必ず使用説明書に目を通すことをお忘れなきように!

おそらく次に買うクルマ選びでも自動ブレーキや電動化は選択肢ではなく、織り込み済みの用件になっていることでしょう。いずれにせよ、こうした安全装備の義務化で高速道・渋滞末尾の追突事故の激減や右折・直進車の事故ダメージ軽減につながるのであれば、とても喜ばしいことです。

| 12:15 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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