2019年11月19日
残念なスパイ
優秀なスパイとは? バカ売れしたスパイ小説と共に世に出て広く名を知られるのは三流!、ホントの優秀なスパイだったら人知れず黙々と任務を遂行し巨額の報酬、ないしは豊富な年金を手にして余生を豊かに送っているはず・・・・・
イアン・フレミングの大ヒット・スパイ小説が王道とするならば、一條次郎著「残念なスパイ」はアウトロー的存在のスパイ小説。が、しかしスパイとして有るべき姿を説きながら、物語は進みます。
アラスカ生れ、スパイ養成機関の出身、コードネームはルーキー、初仕事に恵まれたのはようやく73歳を迎えたのちのこと。二ホーン国という島国のさびれた街に赴任して、命令が下るのを待つ。その前にこの街に溶け込み、ターゲットの顔写真を入手せねばならない・・・・・・
当局との連絡手段は「ない」暗殺実行の指令はいつ、どうやって受け取るのか?謎
目の前には暗殺ターゲットの姿、そばには時限爆弾を仕込んだぬいぐるみ人形。爆発時刻はちょうど3時、あと5秒しかない!さあ、ルーキーとターゲットの運命や如何に????
本来スパイというものは人に気づかれざる存在なのです。なのに黙々と任務を遂行し、存在を知られずに敵国を思うがままに操る・・・・・もしかしして二ホーン国の消費税がこんなデフレ社会なのにもかかわらず10%に引き上げられたのも、国全体の生産力がそれによってまたまた大きく削がれるのも、国際競争力がガタ落ちして生産拠点や知的財産がどんどん海外に流出するのも、ひょっとしてこの国の政権中枢に身を潜めたスパイの仕業なのかもしれません・・・・・・・
そのように想像してみると妙に合点の行く点ばかりが思い起こされるから不思議です。