2018年07月25日
青春とは思うようにはいかぬもの
単館上映ながら話題の注目作、菊とギロチンを観てきました。時は関東大震災後、実際に存在した政治結社と女相撲の興行の一団。若いという以外に接点のなかった二つの集団の男たちと女たちがふとしたきっかけで知り合うことになり、やがて不思議な連帯感を感じるようになって・・・・・命を懸けてでも守ろうとしたものとは・・・・
今から90年以上も昔の青春群像劇。ジャンルも時代も全く違いますが新人の頃のジョージ・ルーカス作品:アメリカン・グラフィティを観終わった後の印象にとてもよく似ていました。
「ロクヨン」の瀬々 敬久(ぜぜ たかひさ)監督がディテールまで丹念に描いてゆく作風は3時間近い長編に仕上がっていますが、その大半を手持ちカメラで撮影という努力作。女相撲の迫力ある取り組みシーンはオーディションを勝ち抜いた女優力士たちが渾身の熱戦をたっぷり見せてくれます。
差別や因習、現代のドラマでは描くことのできない様々な不条理が次から次へと襲ってきます。困難に立ち向かう若者たちの気持ちはなかなか思うようにはいかぬもの・・・・・
主演こそ東出 昌大という人気者を据えていますが、全国ロードショーには向かない作品かもしれません。連続ドラマを一気に観るつもりで劇場(テアトル新宿)に向かった方がよさそうです。