2018年02月24日
お転婆姫と三銃士
「映画産業全盛時代の撮影スタジオを舞台にした作品を作りたい」この映画のプロデューサーが十年越しで温めていたアイデアがようやく陽の目を見ました。さて、綾瀬はるかの主演が決まるとシナリオがゼロから書き下ろされます。彼女ならコメディタッチのラブロマンスか?それとも??ラブストーリーの結末をどんな方向にもっていくかも企画会議の重要な議題だったはずです
・・・・・ひと気の無くなった古い映画館の映写室で夜な夜な映写機に掛けられる35ミリ版白黒映画フィルム、王女を演じる綾瀬はるかは退屈な毎日に飽き飽きした挙句にお城を抜け出して、とローマの休日「綾瀬版」が始まるのかと思うや否や三匹の妖怪と出会い~~~
劇中劇の映画タイトルは「おてんば姫と三銃士」。B級作品で客も入らずとっくの昔に上映の終わった作品という設定です。
公開中の映画「今夜ロマンス劇場で」は、昭和30年代の最も忙しかった時代の映画撮影所を舞台とした、とっても不思議なお話。
モノクローム映画の上映中に突然の停電。客席に現れたのはスクリーンで王女を演じていたあの女優です。銀幕の中にいたはずの彼女がなぜここに?現実の世界に現れた等身大の彼女には色彩がありません。そして、一つだけ「してはならぬこと」が~~
今ではデジタル処理のお陰で綾瀬はるかの部分だけピクセルを白黒数値に変換して編集できる世の中です。21世紀の今だからこそ実現できたアイディア〜シナリオです
とんかく結末が予想出来るようでようで全く予測不能〜ハッピーエンドで終わるのか、それとも切ない別れが待っているのか?最後までどんなストーリー展開になるかは想像できませんでした。
それより、矢口 史靖監督の路線とは明らかに違う綾瀬はるかがまた魅力的。お手本ともいえるツンデレぶりもさることながら綾瀬はるか主演でこんなに泣ける映画が作れるなんて!
主人公マキノという助監督の名前から往年の名監督・マキノ雅弘を連想できるなら~大映映画やタフガイ/マイトガイ、映画『また逢う日まで』のキスシーン等々〜巧みに織り込まれたキーワードに気付くはず。古い映画へのオマージュ満載です。そういう世代を狙った作品なのかと思えばチョンジヒョン主演で韓国中にYupgi(猟奇的)旋風を巻き起こしたあの映画の一番美味しい部分も上手にオマージュしていたりして一層涙腺を攻撃して来ます。
加藤剛や柄本明、竹中直人と言った重鎮を贅沢に使いこなしたキャスティングもまた見もの。北村一輝の突き抜けた怪優ぶりはコメディ作品かと錯覚させる魔力も持っています。そしていかにも映画女優の衣装!な感じの綾瀬はるかのファッションも見逃せないポイント
予告編ではその凄さが垣間見られ無いのが不満ですが、案外口コミで魅力が伝えられる類の作品かもしれません
綾瀬はるかがどんな仕事ぶりを見せているのか、ちょっと気になって何の気なしに選んだこの映画。仮に劇中劇の「おてんば姫と三銃士」の様な運命を辿ったとしても「僕の彼女はサイボーグ」以来気になっている綾瀬はるかの思い出深い主演作品として心に残りそうです。