2017年08月12日
「ミニバン」の定番
宝塚娘役だった、綺麗な歌のお姉さん;はいだしょうこがCMに登場したこともあるトヨタの小型ミニバン「シエンタ」はちょっと変わった経歴の持ち主。10年を超える生産期間で一度は生産ラインから消えたにもかかわらず、モデル復活が決まって再び生産が開始されるという異色の経歴を持っています。そんなシエンタがモデルチェンジされて数年、その新型シエンタをドライブしてみました。
今回の新型はハイブリッドカーの「アクア」を土台にしており、ガソリンエンジンのみのバージョンも存在します。機構の多くはヴィッツとも共通で、今のトヨタの基幹車種の実力を垣間見られるか・・・・・早速リモコンキーを解除してスタートボタンに手をかけます。
ハイブリッドでなくともCVT変速機、アイドリングストップは常識の装備。強いて、難点を挙げるとすればやはりCVTの出来・不出来で右折信号待ちのスタートダッシュではどうしても気持ちの方が一瞬早く反応し、車が動き出すまでに違和感を感じるくらいでしょうか?
高速道路では高校野球の実況放送やキャロルキングのBGMのおかげで、エンジン音を聞き取ることはごく稀。たまに聞こえてくるのは3千回転を過ぎたあたりから・・・・でも、その音質が直4なのかV6なのか、たいていの人には判りません。というか興味はないはず・・・・1600回転で巡航中も2300回転で走った場合でも車内騒音にはほとんど差がなく、エンジン音で車速を感じることは、まあないでしょう。いつの間にか上り坂で車速が落ちていたのに、気づかなかったということさえ有り得ます。
まあ、クルマに格別の興味がない大部分の人にはどうでも良い話で、ことさら車速に合わせて話し声を大きくする必要もありません。おそらくこれはこれからのトヨタ製の大衆車にも共通する美点のはずで、このあと登場する新しいヴィッツやカローラ一族にもこの美点は受け継がれるだろうと思われます。
三列目のシートは、補助席としては上出来の部類、北海道でも目指さない限り小柄な女子なら不満も出ないでしょう。ただ、高齢者にとって自動ドアだけは鬼門?何度説明しても手を添えてドアの動きを止めてしまいます。
後席へのアクセスはこのサイズだから多くは求めません。片方づつ二列目のシート下に格納できるので荷室スペースを無駄にしないところはさすが!ホンダみたいな知恵者がトヨタにもいるんですね。7人定員乗車では人数分の引き出物も乗るかどうか?5~6人乗車、プラス荷物スペースという使い方が事実上の最大キャパでしょう。二列目中央席のヘッドレストもちゃんと高さ調整ができて、トヨタらしい抜かりのない気遣いが感じられます。
スムースな高速道路の巡航に飽きてきたらステアリング右スポークのコマンドスィッチをいじって、メーター中央のインフォメーションをチェックしてみましょう。アイドリングストップの積算時間も表示されるので信号待ちがいかに人生の無駄遣いをしているか思い知らされる有難い指標です。でもガソリンは節約できます。
最近のエンジンは燃料噴射量をCPUで制御しており、時間ごとの正確な消費量もわかります。一分ごとの燃費だって表示可能。ほかにも車線逸脱アラームのon/offや感度の強弱、平均車速や航続可能距離の表示も多種多彩。燃料計の針の僅かな動きで1リッターの増減を見極めていたテクは、もう役立ちません。エコ運転に徹したかどうかを百点満点で採点してくれる教条的な表示もあったりして、どの表示にしようか迷っているうちに、もう目的地のインターが近づいてきました。
400km弱走ってほぼ30リッターのガソリンを消費。平均燃費の表示はすこぶる正確。5人が乗車してエアコンフル稼働、高速も山道も走ってこの数字、これ以上悪くはならないと思います。まあ、カローラ並みのサイズで7名乗れるキャパがあれば相応の数字かも。排気量を考えると二名乗車で秋口にでもなれば、あと1割、いや、15%くらいは良い数字が出ても不思議ではありません。
白だと意外に目立たないものの、街中で案外頻繁に見かけるあたらしいシエンタ、初代のように長寿モデルとなってくれるでしょうか