2016年11月02日
(TIFF)話す犬を、放す
今回の映画祭TIFFにはほかの映画祭で受賞した作品も紹介されています。さいたまSKIPシティ 国際Dシネマ映画祭でオープニングを飾った熊谷まどか監督の初長編作品「話す犬を、放す」は、高齢の母親とアラフォーの未婚女性をつみきみほ、田島玲子の懐かしい女性たちが演じています。
登場する犬chilloは喋りませんが、遠い昔に手元を離れた雑種犬で〜というペットの回想物語・・・・・ではありません。認知症初期に見られるせん妄症状がテーマの物語です。
この重たいテーマを少しばかりコミカルなタッチで結構リアルに表現しているのは、この映画の女性監督が一年前に実際に体験したことがベースになっていてリアルさに一層拍車が掛かります。介護を素材にした物語で難しいのは着地点が見え辛いところにありますが、この作品では母娘の心の通い合いが落としどころになっています。
これからの高齢化社会で必ずテーマとして浮上してくる筈の認知症と介護の問題、女性ならではの視点で作られた低予算の映画ながらきらりと光るものを持っていた作品です。主演の2人が若くて魅力的だった時代を憶えているだけに上手に年齢を重ねた二人を存分に鑑賞できたのも収穫でした