2016年11月16日
高齢者ドライバー
ここ数日高齢者による運転ミスのニュースが相次いでいます。何も昨日今日になって急増したわけではなく、交通事故全体の四分の一が高齢者がらみともいわれています。とりわけ多くなった印象の踏み間違えによる暴走事故。
恥ずかしながら30年前に私も2度踏み間違えを経験していますが、踏んでいる 最中はブレーキペダルだと思い込んでいるので右足に力を込める一方、予期しない加速度に動転、冷静に考え直して踏み替えるなんて、とてもできない相談です。結局利きの弱いサイドブレーキを引きながらエンジンキーを切って事なきを得ていますが、誰もがこう反応できるわけじゃありません。
免許取得で実地教習の最初の関門=クラッチ操作の難しさがないAT車の9割近い普及に伴って顕著になった現象です。30年ほど前には、すでにこの踏み間違えによる交通事故が問題視されてはいました。勿論対策も施されていてブレーキペダルを踏まないとエンジンがかからない/パーキング(駐車)ポジションからもブレーキを踏まないとドライブ(前進)にシフトできないセレクターの動作制限など静止状態からの誤操作に対しては安全対策がとられています。しかし、一旦走り始めてしまえばこれらの機能は関係なくなります。
そこで今世紀になって実用化された踏み間違え防止装置が効力を発揮します。スバル、アイサイト等の衝突防止ブレーキの応用で、障害物に向かってアクセル全開で前進しようとすると強制的にアクセルを戻す(操作を無効にする)機構です。もちろん普及はまだまだで先日報道された数件の暴走事故の場合でもこれらの装備のない車種が事故を起こしています。
では、こうした装備の普及を待つまで事故の発生は抑制できないのでしょうか?高齢者に多い認知症の診断をもっと厳しくすべき、年齢で一律免許更新を制限する、様々な提案も挙げられていますが所詮地下鉄でどこでも行ける霞ヶ関界隈の高齢者による押し付けでしかあり得ません。
氷点下5度を下回る厳寒期の岩手県、朝の通院時間に路線バスは学生たちで満員、最寄り駅までは自転車でも数十分の距離、タクシー呼んだら千円単位の距離です。コンビニ?そんな都会的な店舗は半径5km以内にはありません・・・山間部の人里離れた場所でなくてもこんな場所は日本列島至るところにあります。概してこういう所の高齢者比率は高いいもの。彼らが免許と車を奪われたら病院へはおろか、日々の買い物にしても巡回してくる移動スーパーのトラックを待つよりありません。速度の遅い耕運機やトラクターにも免許は必携です。
都市部で我々が想像する以上に高齢者ドライバーの免許更新制限は深刻な結果をもたらします。マニュアル車の時代にはあり得なかった踏み間違え、暴走事故ならば高齢者のAT車禁止という提案もあります。しかし今カタログでマニュアル車を探すと軽トラックとスポーツカーの他にはごくわずかしか選択肢がありません。取り締まるにしても走行状態だけを見てAT車を見分けるのは不可能です。ライトやエアコン操作を見ても世の中、便利な自動化に向かうのは自明の理。
自動ブレーキが100パーセント普及するまでの間、誰にでも実行できる解決策を一つご提案しましょう。左足ブレーキです。
ゴーカートは元々左足ブレーキ、バイクの後輪ブレーキは右足または左手ですが迷わずに操作してますね。AT車のブレーキペダルは両足でも踏めるくらい横長のものが多くなっています。
じゃあ明日から左足ブレーキにしようと思っても簡単には行きません。ブレーキ操作の細やかな踏み加減の感覚は右足にしかインプットされていないからです。そこで両足ブレーキです。暫くは両足でブレーキを踏むことで微妙な右足の感覚を左足にコピペする事が可能になります。踏力不足も解消できます。裏道を走るときなど左足をスタンバイさせておけば踏み替えに要するコンマ何秒か早めにブレーキを踏む事ができ、制動距離を何mか短縮することも期待できます。
【左足・両足ブレーキは暴走事故を防ぐためのいち提案です。完全に事故を防止する手段ではありません。車庫入れなどで十分習熟してから運転してください。安全運転に際しては自己の責任のもと、十分に安全を確認したうえで的確な操作をお願いします】
習熟までには少々時間のかかる方法ですが、今すぐ実行できる暴走事故防止策としてこんな提案がもっとあっても良いのでは、と考えますが総理ぃ!いかがでしょう