2015年08月17日
花の道
阪急電車宝塚駅を降りて宝塚大劇場に向う桜並木は通称、花の道と呼ばれる散歩道.一ヶ月に及ぶ大劇場公演が楽日を迎えると、この花の道も文字通りの花道に変身します.この夏の雪組大劇場公演で宝塚生活を卒業してゆくヅカガール5人の中に、えいちゃん(花瑛ちほ)の名前がありました。
最後のステージが終わり、アンコールのあと,組長(女性です)の呼びかけに答えて大階段をひとりで一歩一歩降りて来たみどりの袴姿のえいちゃん.18段目で一端ストップし深々と客席に一礼します。スタンドマイクの前で最後のご挨拶。
「緊張しているはずの千秋楽の舞台袖で、ショーのテーマ曲を口づさみながらルンルンなワタシがいるのに気付きました。」〜すっかり関西センスを会得したえいちゃん.掴みはばっちりです!〜黄色い声援までくださった客席の皆様に心からの感謝をこめて”本当に楽しい1日をありがとうございました”」えいちゃんらしいサッパリとした引き際でした。
思えば一昔も前のことになりますが、当時J=WAVEの番組ナビゲーターを担当されいたU氏が「娘が宝塚に合格しまして・・」と嬉しそうにスタジオに連れて来られたのが当時17歳のえいちゃん。ビーナスか、あるいはアフロディーテにも喩えられるエキゾティックな洗練された美しい顔立ちは彫りの深い父親譲りのものでしょうか?本人は男役志望でしたが、並みいる同期生たちはみな長身の男役志願者たち。初舞台の頃には芸名も娘役を意識した可愛らしいものに決まりました。
音楽学校卒業前の文化祭ではホンモノの宝塚の大舞台に立ち、その年の春には初舞台でラインダンスのセンターでデビュー.以来、娘役のひと際目立つ存在としてステージを盛り上げて来たえいちゃんでしたが、ほかのセンパイ方と同様、いつかはこの場所とお別れのときを迎えることに違いはありません。
実際には今後、最後の東京公演が控えており、10月の千秋楽をもって正式な退団となりますが、出待ちのファンに見送られて花の道を歩くのは今回が最後。万感の思いを胸に秘めながらも、ルンルンな笑顔を絶やさなかったえいちゃんの宝塚ライフは今にも降り出しそうな雲行きの中、幕をおろしたのでした。