2015年07月24日
地元の落胆
震災で津波被害を受けたJR気仙沼線と大船渡線の復旧方針をめぐり、JR東日本が鉄路での復旧を断念し、バス高速輸送システム(BRT)を存続させる方針を固めたました。国土交通省で24日に開かれる沿線自治体首長会議の第2回会合で、JR東日本はこの方針を正式に示しましたが、地元側は受け入れるかどうかを年内にも開かれる次の会合で明らかにする見込みです。それまでは少なくとも鉄路復旧への作業だって進まないばかりか、このまま廃線となってしまっても不思議ではありません。
レールでの復活は無し、ということになると地元の落胆振りが目に見えるようです。
大船渡線も気仙沼線も三陸海岸に並行する路線で津波被害を受けてから不通となったままでした。三陸鉄道と違い、復旧への道筋はなかなかつかず、今回こうして廃止が前提の話し合いとなったことは地元の利用者の大きな失望を伴います。
とりわけ交通弱者に数えられる高齢者、通学生らにとっては大きなショックであるに違いありません。三陸側とはいえ冬季には雪も積もります。定時運行が確保されやすい鉄道とタイヤの摩擦力が頼みのバス輸送ではやはり埋められぬ大きな開きがあるものです。
気仙沼の市街と新幹線(一ノ関)を結ぶ大船渡線は稼動しているものの、そこから海岸沿いに南北に向かう区間はいわゆる放射状の路線で、もともと採算の取りにくいタイプ。18歳になれば誰もが例外なく免許を取る土地柄、列車の定期利用はごくごく限られたユーザーに限られてしまいます。不採算路線と呼ばれるルートがいったん何らかの理由で不通になってしまうと、再開に持ち込むのは至難のワザ。何年か前にも土砂崩れ被害で不通になった岩泉線がそのまま廃線になってしまいましたが、同じ岩手県内で南北二つの路線が相次いでなくなるというのは、鉄道ファンあらずとも落胆を隠せない出来事なのです。
そして今もって復旧の見込みがつかない山田線の沿岸部、釜石宮古間の復旧にも暗い影を落としかねない問題でもあるのです。